映画『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督が、カンヌ国際映画祭で名誉パルム・ドール賞を受賞した翌日に講演。AIは「世界を破壊するだろう」としながらも、映画での活用に関しては「全く嫌いではない」と語った。米エンターテインメント業界誌バラエティー(Variety)が伝えた。
ジャクソン氏は、AIは自身にとって「ただの特殊効果に過ぎない」とコメント。ただし、肖像が許可なく使用されることから、その権利を守ることは「極めて重要」だと述べた。
一方で、「今の状況では、誰もがAIのことをとても心配している。(『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくる)ゴラムのようなキャラクターや、AIが生成したキャラクターが賞を獲得する見込みは全くないと思う」と指摘。ゴラムを演じたアンディ・サーキスのモーションキャプチャーを使用した演技(100%人間による演技)に対する評価への悪影響に懸念を示した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督がカンヌ映画祭で「AIはただの特殊効果に過ぎない」と発言した一方で、最も興味深かったのは「ゴラムのようなキャラクターや、AIが生成したキャラクターが賞を獲得する見込みは全くないと思う」という指摘だった。
『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム(=ゴクリ)は、俳優アンディ・サーキスのモーションキャプチャー演技(100%人間による演技)が生み出した名キャラクターだ。AI生成キャラとモーションキャプチャー演技を業界が同一視してしまうと、後者への評価が損なわれる可能性がある——ジャクソン監督の懸念はこの点にある。
映画祭・映画賞の評価軸が「人間の演技」「AI生成」「ハイブリッド」を明確に分離せずに扱うと、長年積み上げてきた「人間性能の演技」の評価インフラが揺らぐ。Twinninのデジタルツイン、IPFCのアイデンティティ管理など権利インフラの整備と並行して、「演技評価のカテゴリー設計」も業界の課題になりつつある。」














