カンヌ国際映画祭に併せて開催される映画見本市「マルシェ・デュ・フィルム」が5月12日に開幕。過去最高の1万6,000人が参加する予定だ。同見本市は、世界有数のインディペンデント映画売買の場という従来の役割を超え、資金調達からAI、クリエイター経済まで、あらゆる分野を網羅する250ものイベントを展開している。責任者のギヨーム・エスミオール氏の話を元に、米エンターテインメント誌「ザ・ハリウッド・リポーター」が伝えた。
テクノロジーやイノベーションの分野でキャリアを積んだエスミオール氏はここ数年、「映画販売の市場」「映画プロジェクトの開発や資金調達を行う市場」「知識の市場」の3つを1つにまとめた場にするという構想のもと、マルシェ・デュ・フィルムの刷新を図ってきた。
AIが創造性を高め、新たなビジネスチャンスを創出するという考えから開かれる「AI for Talent Summit」では、責任あるAIについて議論。映画監督らの具体的なAI活用方法などを知る機会を提供する。
また、フランスでは仏YouTuberのInoxtagがエベレスト登頂に挑戦する様子を描いたドキュメンタリー映画『Kaizen』(2023年、mk2配給)が劇場で大ヒット。このほかにもクリエイターが新たな観客を劇場に呼び込むことができることを証明した事例が複数あることから、エスミオール氏は「今こそ、映画業界とクリエイター経済の間のさまざまな架け橋について語るべき時だ」と話した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「マルシェ・デュ・フィルム(カンヌ国際映画祭併設の映画見本市)が今年新設する「AI for Talent Summit」が興味深い。同サミットは「AIが創造性を高め、新たなビジネスチャンスを創出する」という前提のもと、責任あるAIについて議論し、映画監督らの具体的なAI活用方法を知る機会を提供する。
先日のカンヌでピーター・ジャクソン監督が「AIはただの特殊効果に過ぎない」と発言した一方で、肖像権保護の重要性を強調したように、映画業界の対AI姿勢は「受容と権利保護の二軸」へと固まりつつある。
マルシェ・デュ・フィルムはその議論を「映画監督が実際にどう使うか」という実用レベルにまで降ろし、業界全体の知見共有の場として設計している。AI時代の映画制作のグランドルールづくりが、見本市・映画祭の主要トラックとなってきた段階を映し出している。」














