東南アジアのプレミアムVOD(動画配信サービス)ユーザーは、スクリーンタイムのうち実際にプレミアムコンテンツを視聴している時間はわずか8%に過ぎず、残りはソーシャルメディア、メッセージング、ゲーム、ショート動画に費やされているーー。バリで開催されたアジア太平洋地域のメディア・エンターテインメント業界ビジネスサミット「APOS」主催のメディア・パートナーズ・アジアのインサイト部門責任者であるディヴィヤ・T氏のプレゼンテーションを元に、ハリウッド業界誌「Deadline」が6月12日伝えた。

特定の時間帯に集中して視聴されることもなく、もはや「プライムタイム」は存在しないと指摘。また、消費者はプレミアムコンテンツを視聴している時間の約3分の1をセカンドスクリーンを眺めることに費やしており「集中する画面と落ち着きのない画面」が同時に稼働しているという。

ディヴィヤ氏は今回、ファスト・アテンション(アルゴリズムによって選ばれた、さっと目を通せるコンテンツがスクロール表示される)とスロー・アテンション(消費者が自ら進んで選ぶ、没頭して視聴する体験。収益化の段階)に分類。YouTube出身の監督による劇公開作の大ヒットなどを例に、ファスト・アテンションがオーディエンスとブランドを形成し、そこからスロー・アテンションに導かれていく流れを説明した。これにより、両方の要素を併せ持つマイクロドラマ(スマホ向け縦型・短尺ドラマ)が台頭していると主張する。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「テレビの普及より先にスマホが広まった東南アジアの視聴スタイルは、世界の映像ビジネスの近未来を映す鏡かもしれない。同地域のプレミアム動画ユーザーが、スマホやテレビを眺める時間のうち、実際に有料コンテンツを観ているのはわずか8%。残りはSNS、メッセージ、ゲーム、ショート動画に流れているという。
しかも視聴は特定の時間帯に集中せず、もはや「プライムタイム」は存在しないと指摘された。テレビが家族を一つの画面に集めた時代を経ずに、いきなり可処分時間が無数のアプリへ細分化された市場の姿だ。
さらに、有料コンテンツを観ている間も、視聴時間の約3分の1はスマホなどの別画面に目を移しているという。「集中する画面」と「落ち着きのない画面」が同時に動いているわけだ。限られた8%をどう奪い、どう没頭させるか——映像ビジネスの競争軸の変化が、ここから読み取れるかもしれない。」