Audibleは9月1日、『ハリー・ポッター:フルキャスト・オーディオエディション』の累計販売数が500万部を突破したと明らかにした。同シリーズは全7巻で、昨年11月に1作目がリリースされてからわずか9カ月で達成された。同社の話を元に、ハリウッド業界誌「デッドライン」などが伝えた。

このフルキャスト版は、Audibleのサブスクリプションを通じて利用できる無料カタログには含まれず、この500万部という数字は、個人による購入とAudible会員によるクレジット購入を合わせたものとなる。Audibleの別のベストセラーである『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(今年ハリウッド映画化)の累計販売数が5年間で300万部であることを踏まえると、驚異的な数字であることが分かる。

このフルキャスト版は、最先端の空間オーディオを採用。総再生時間は約130時間で、ハリウッドスターを含む総勢200人の俳優が500人以上のキャラクターを演じた。

HBOシリーズの12月放送開始を控え、『ハリー・ポッター』関連のあらゆるものへの関心は依然として高い。ジム・デイルとスティーヴン・フライがナレーションを担当した旧作の『ハリー・ポッター』オーディオブックは、延べ20億時間近く再生されている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Audibleの『ハリー・ポッター:フルキャスト・オーディオエディション』が、発売9カ月で累計500万部を突破した。この商品の作りが、まず驚きだ。総勢200人の俳優が500超のキャラクターを演じ分け、空間オーディオで録られた総再生時間は約130時間。朗読というより、映像のない超大作映画である。比較の物差しも記事にある。Audible屈指のベストセラー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が5年で300万部——それを9カ月で置き去りにした。この成功は、オーディオブック産業の段階の変化を示していよう。一人の名手が読む「朗読」の時代から、キャスト、音響、演出に大作級の資本を投じる「耳の映画」の時代へ。読書と演劇とラジオドラマの境界が溶け、そこに新しい市場が生まれている。日本でも声優文化という強い資産があるだけに、この「フルキャスト超大作」の型は、オーディオ市場の次の一手の参考になるはずだ。」