パラマウント・スカイダンスは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)買収を巡り、米12州の司法長官らが提起したものを含む複数の独占禁止法違反訴訟に直面しており、合併は現在一時停止状態にある。だが、合併の遅延が長引けば、パラマウントには莫大な金銭的負担が生じることとなる。米公共ラジオ放送(NPR)などが伝えた。
10月1日になってもWBDとの合併が成立していなければ、取引が90日遅れるごとに、パラマウントはWBD株主に対し、約6億5,000万ドル(約1,000億円)の遅延手数料を支払わなければならない。また、2027年6月4日までに取引が完了しなければ合併契約は失効。パラマウントはWBDに違約金70億ドルを支払うこととなる。
最も深刻な脅威となっている米12州の司法長官らを原告とする訴訟では、ケーブル番組供給事業者上位3社のうち2社と、映画配給会社上位5社のうち2社が統合されることで、ケーブルテレビチャンネル、大作映画の劇場公開、全国規模の劇場配給という3つの市場における競争阻害に焦点が当てられており、ストリーミング市場はこれら市場にとって「付随的な」ものと位置付けられている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「90日遅れるごとに約1,000億円。パラマウントがWBD買収の遅延で背負う手数料は、時間がそのまま金に換わる仕掛けである。この構造を踏まえると、12州の訴訟の意味が変わって見える。裁判で勝てなくても、審理を長引かせるだけで、買収側の体力を確実に削れるのだ。2027年6月の期限を過ぎれば契約は失効し、違約金は約1.1兆円。つまり州側は、判決という結論の前に、時間という武器を手にしている。大型合併の攻防では、しばしば「遅延こそ実質的な拒否権」と言われる。過去にも、係争の長期化を嫌って当事者が自ら断念した巨大買収は少なくない。逆にパラマウント側が裁判を急ぎ、和解条件を探る動機も、この時計から生まれる。法廷の争点は市場の寡占だが、勝敗を決めるのは案外、法理より日数かもしれない。エンタメ史に残る再編は、カレンダーとの戦いに入った。」














