ストリーミングが一巡し、Apple TV+を除く全ての主要プラットフォームが広告付きプランを提供するようになったことで、ライブ配信が再び脚光を浴びている。ハリウッド業界メディア「The Ankler」が報じた。

ライブ配信では、これまでNetflixが最も大きな話題を呼んでいる。2023年の『ラブ・イズ・ブラインド』再会特番のような初期の試みでは技術的なつまずきもあったものの、同プラットフォームでのスポーツ中継やライブコメディは好調に推移。今年1月には『スカイスクレイパーLIVE:アレックス・オノルドが挑む台北101』の視聴回数が、初週末だけで620万回を記録。その後、1,300万回にまで伸びている。

ただ、Netflixの取り組みを最も明確に示すのは、視聴者数ではなく「支出のパラドックス」だ。ライブ配信は同プラットフォームの総視聴時間のわずか1%を占めるに過ぎないにもかかわらず、Netflixは約10億ドル(2026年のコンテンツ予算の5%)を投じている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Netflixのライブ配信を巡る数字が面白い。総視聴時間に占める割合はわずか1%。なのに、コンテンツ予算の5%にあたる約10億ドル(約1,600億円)を投じている。この「支出のパラドックス」は、ライブの価値が視聴時間では測れないことの証明だろう。録画作品は、いつでも観られるがゆえに、いま加入する理由にならない。ライブは逆で、その日その時間にしか存在しないから、加入の締め切りを作り、SNSの話題を独占する。日本の私たちは今年3月、その計算を目の当たりにしたばかりだ。NetflixはWBCを日本で独占配信し、侍ジャパンの熱狂を丸ごと自陣に引き込んだ。ABEMAがW杯で知名度を一変させたのと同じ、一晩の熱狂は何カ月分の新作より雄弁という方程式である。広告付きプランが普及した今、世界同時のライブは広告の一等地にもなる。時間の量ではなく、瞬間の濃さを買う——1%への5%は、その相場ということなのだろう。」