個人開発者のレモリオン氏は8月12日、はがねいろ氏と共同開発したPC向けゲーム『めっちゃカメレオン』の累計販売本数が2000万本を突破したと発表した。2026年6月10日の発売から約2か月での到達となる。
本作は、白い身体に自らペイントして背景やオブジェクトに擬態するオンラインかくれんぼゲームだ。価格は790円(税込)。単純計算での流通総額は約158億円に達する。地域別価格やセール、プラットフォーム手数料を差し引いても、2人のチームが2か月で生んだ数字としては前例がない。
レモリオン氏はホラーゲーム『ペンギンホテル』シリーズや『デスバーガー』など小規模タイトルを重ねてきた開発者であり、2026年4月にもマルチプレイ作品を出している。突然変異的なヒットではなく、反復のうえに成立した成果である。
発売直後から主戦場は国際市場だった。6月中旬時点のレビュー言語比率は英語が6割超を占め、日本語は数%にとどまる。Steamの週間売上ランキングでは発売から2週連続で、基本無料タイトルを除く世界1位を維持した。
成長曲線は「爆発」から「巡航」へ移行した
注目すべきは伸び方の変化だ。発売2日で50万本、16日で1000万本、25日で1500万本と、初速は異常な角度を描いた。だが1500万本から2000万本までには38日を要している。
配信クリップによる爆発的な認知拡大の局面は、7月上旬でおおむね終わったとみるべきだろう。以降の積み増しを支えたのは、7月下旬に実施された15%オフのセールと、HIKAKIN氏、『Garten of Banban』、『8番出口』との3件のコラボマップ実装だ。いずれもマップ追加のみで完結する軽量な座組みであり、2人体制で回せる範囲に収めている点が上手い。追うべき指標は、販売本数から継続率へと移りつつある。
低単価の対戦・協力型タイトルが配信を経由して急拡大する現象は、世界的な潮流でもある。調査会社センサータワーが2025年9月に公表した集計でインディー分野の販売本数首位となった『R.E.P.O.』をはじめ、同型の成功例が相次ぐ。本作はその日本発の事例であり、かつ規模では頭一つ抜けた。
インフラの外部化が個人開発の上限を押し上げた
2000万本規模のオンライン対戦を2人で運用できた背景には、コスト構造の変化がある。広告費はゼロ、開発期間は約2か月。マッチングやP2P通信の中継はプラットフォーム側が無償提供する基盤に依存しており、サーバー費用の負担が事実上生じない設計になっている。
かつて多人数同時接続型のタイトルは、専用サーバーの運用費そのものが参入障壁だった。その前提が崩れたことで、少人数チームでも世界規模のオンラインタイトルを維持できる。これは本作固有の幸運ではなく、再現可能な条件である。
ボトルネックは開発力ではなく権利管理にある
一方、規模の急拡大は別種の課題を露呈させた。7月12日、レモリオン氏は市場に流通するグッズがすべて非公式品であり、作品名を含むSNSアカウントも公式ではないと注意喚起している。Meta Quest向けには無許諾のVR版ストアページが公開され、削除申請に至った。類似ロゴを用いた便乗タイトルも現れている。
11月にトイズキャビンから発売されるカプセルトイ「わっかチャーム」は、初の公式グッズとなる。1回300円、全7種。単なる商品化ではなく、放置された空白を正規品で埋めるブランド防衛の一手と読むべきだろう。
150億円規模のIPを2人で抱える体制は、開発面では成立しても権利執行の面では明らかに手薄だ。玩具メーカーやIPエージェントが介在する余地は大きい。PC・Steam単独のまま2000万本という残余ポテンシャルをどう扱うかも含め、次の判断が本作の寿命を決める。














