ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)が8月6日に公表した2026年4〜6月期の投資家向け説明資料に、『ホグワーツ・レガシー』の第2弾が登場した。「今後の開発ラインナップが充実すれば、ゲーム事業は利益にもっと貢献できるはずだ」という説明のなかで、その一例として続編の名前が挙げられている。
これまで続編の存在は、開発会社の求人内容などから推測されるだけだった。だが投資家向けの公式資料に書いた以上、簡単には引っ込められない。第2弾は、会社の収益計画にきちんと組み込まれたことになる。ただし、タイトルも発売時期も対応ハードも、まだ何ひとつ明かされていない。ゲームファンには朗報だが、注目したいのはむしろ、この一文が置かれた状況のほうである。
「看板4本に絞る」戦略は、数字の上では動き始めた
ワーナーは2025年2月、傘下のMonolith Productionsなど3つの開発スタジオを閉鎖し、制作中だった『ワンダーウーマン』も中止した。ハリー・ポッター、モータルコンバット、DC、ゲーム・オブ・スローンズという、それぞれ10億ドル(約1500億円)以上を稼ぐ4つの看板シリーズだけに投資を集中する、という方針転換である。
今回の資料は、4〜6月期に発売したレゴ バットマンとスマホ向け『ゲーム・オブ・スローンズ:ドラゴンファイア』の2本を、この新方針による最初の成果と位置づけた。ゲーム事業の売上は、為替の影響を除くと前年の同じ時期より45%増。ただし費用も52%増えており、投じた資金を回収する段階にはまだ入っていない。
しかも看板4本とはいえ、規模で突出しているのはホグワーツだ。2023年2月に発売された1作目は、その後もPS4版、Switch版、2025年6月にはSwitch 2版と対応ハードを増やし、2024年10月末に3000万本、2025年12月には4000万本を売り上げた。ワーナーのゲーム史上、最も速いペースで売れた作品である。
12月25日、ドラマだけが先に帰ってくる
そして今年12月25日、HBOのドラマ版「ハリー・ポッター」の第1シーズンが配信を始める。原作7巻を1巻につき1シーズンずつ映像化する、約10年がかりの企画だ。3月に公開された予告編は48時間で2億7700万回再生され、HBO史上最多を記録した。
映画版が完結してから15年。このシリーズにとって最大の盛り上がりが訪れる場面に、ゲームは間に合わない。第2弾はまだ映像ひとつ公開されていないのだ。
なお開発元の求人には、オンライン対戦要素を持つRPGへの言及がある。ただし作品名は書かれておらず、続編と関係があるかは不明だ。1人用として4000万本を売った作品に多人数プレイを持ち込むことは、対戦要素で失敗した『スーサイド・スクワッド』の二の舞になりかねない。
会社は「売られること」を裁判所に止められている
さらに奇妙なのが親会社の状況である。ワーナーはパラマウント・スカイダンスに約1100億ドル(約17兆円)で買収されることが決まっていた。ところがカリフォルニア州など12州が「独占禁止法に違反する」として提訴し、手続きは凍結。裁判の決着か2027年6月1日か、早いほうが来るまで買収は完了できない。当初は今年9月末の予定だった。決算説明会でも、この件への質問は一切受け付けられなかった。
魔法学校は12月に予定どおり帰ってくる。だがそれを所有する会社のほうは、売られることすら止められて身動きが取れない。作品は前に進み、企業だけが立ち止まる。短い一文の裏にあるのは、そんな奇妙な光景だ。














