大手レコード会社と著作権訴訟で争っている音楽生成AI「Suno」が、自社プラットフォームで作成された楽曲をアナログレコードに変換するサービス「Suno Vinyl」の予約受付を開始した。

Sunoの広報担当者はMusic Business Worldwide(MBW)に対し、「近日提供開始」のこのサービスは「ユーザーが作成した音楽を物理的な形で提供する方法を探る取り組みの一環」だと話している。

ユーザーはSunoのライブラリからトラックリストを作成でき、アナログレコード1枚につき最大46分間の音声を収録可能。自分のアートワークやSunoのイラストを使い、スリーブ、ラベル、ジャケットをデザインできる。

各アナログレコードはプレスされ、ユーザーの自宅まで配送される。価格は45ドル(送料別)。12インチのPETG製レコード盤に、フルカラー印刷のジャケットとラベルが付属する。

同社は「自分だけの思い出の品として、大切な人への贈り物としてプレスしよう。あるいは、スクリーンの中だけにとどめておくにはもったいないほど素晴らしい曲をプレスしよう」と宣伝している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「音楽生成AIのSunoが、自作のAI曲をアナログレコードにするサービスの予約を始めた。最大46分をトラックリストに組み、ジャケットも自分で設計して、45ドル(約7,100円)で自宅に届く。宣伝文句が、この商いの本質を語っている。「自分だけの思い出の品として、大切な人への贈り物としてプレスしよう」。想定されているのは、記念日の歌、誕生日の一曲、内輪の冗談から生まれた讃歌だ。つまりこれは、音楽の「作品」としてではなく、「記念品」としての商売である。思えば、似た文化は昔からあった。好きな曲を編集したカセットを贈り、結婚式のために一曲を作ってもらう。歌は個人の節目を彩る贈り物でもあり続けてきた。AIはその特注の敷居を、誰の手にも届くところまで下げた。写真がアルバムや年賀状という「物」になって配られてきたように、音楽もパーソナルな物品として流通し始めるのかもしれない。プロの音楽産業とは別の場所に、「私家版の音楽」の市場が静かに生まれつつある。」