音楽生成AI「Suno」との法廷闘争の一環として、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が、Sunoとワーナー・ミュージック・グループ(WMG)の契約内容の開示を求めている件が泥沼化している。

担当判事は4月、「情報の関連性はごくわずかであり、本件および他の事件において和解を阻害する恐れが高い」として、UMGとSMEによる同証拠開示請求を却下。また、両社が「(Sunoとワーナーとの)和解は、汎用AI向けの音楽知的財産(IP)のライセンス供与市場が実際に存在することを証明している」と主張したことについて「和解はIPの市場を特定し、その性質を定義する上で、説得力のある根拠とはなり得ない」と述べた。

UMGとSMEはこの決定を不服として、証拠開示請求の却下に対する異議を申し立てた。Sunoは5月に反論を行い、7月9日の審問でも解決に至らなかったようだが、Sunoは7月13日に提出した異議申し立てに対する反論書の中で、態度を硬化させている。

Sunoの主張自体は変わっておらず「訴訟を背景に締結されたライセンス契約は、その条件が機能する市場を特徴づける競争力ではなく、訴訟リスクによって形作られているため、証拠としての価値は限定的である」と強調。また、ワーナーとの契約を残りの原告たちに引き渡すことは「和解の進展を妨げ、同様の状況にある当事者による将来の和解を阻害する恐れがある」としている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「AIで作った曲は売ってもいいが、あなたのものではない——音楽生成AIのSunoが、ワーナーとの和解を経て打ち出した新しい決まりだ。有料会員には商用利用の権利が与えられる一方、生成したのはSunoである以上、所有者は利用者ではないとされる。無料版で作った曲は、保存すらできなくなる。そしていま、この和解の中身をめぐって法廷で綱引きが続く。まだ争うユニバーサルとソニーが、ワーナーとSunoの契約書の開示を求めているのだ。狙いは、AIに音楽を学ばせるなら対価を払うという市場が、すでにあると示すことにある。Sunoは、訴訟を抱えて結んだ契約に相場としての価値はないと反論する。利用者を縛る決まりは見えてきたが、その裏で交わされた金額は伏せられたままだ。AI音楽の値段が、水面下で決まりつつあることが読み取れる。」