ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックグループ(SMG)が提起した著作権侵害訴訟を巡り、音楽生成AI「Suno」は5月29日、AIモデルの訓練に使用した音声ファイルの正確な数を非公開にするよう連邦地方裁判所に求めた。その数字を開示すれば、競合他社に競争上の優位性を与えることになると主張している。

Sunoは裁判所への提出書類で「弊社は原告側が訓練データに含まれていたと主張する特定の録音物(の情報)を差し押さえることを求めてはいない。差し押さえを求めている唯一の情報は、弊社のモデルを訓練するために使用されたと音声ファイルの総数である」と明記。同社は「正当な理由により、その数値を公に開示したことは一度もない」とした上で、公開すればその機密情報を悪用して競合が自社モデルを最適化するなどして「Sunoに重大な競争上の損害を与えるリスクがある」と主張した。

なお、原告側は、Audible Magicのオーディオフィンガープリント技術を用いてSunoの訓練データ内に自社録音物を特定したことを受けて、5月21日に訴状修正の申し立てを行っていた。SunoがAIモデルの学習に原告側の「数百万件」もの著作権保護された音源を使用していたことが判明し、同社が「学習に使用した音源の特定を依然として拒否し続けている」と主張している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「音楽生成AI「Suno」が訴えられている著作物の数が、「560曲」から「数百万件」に膨らんでいる──ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックグループ(SMG)の著作権侵害訴訟で、原告側が主張する「無断学習」音源数の規模だ。2024年6月の当初訴状では「560曲」だった件数が、2025年に「6万1,026曲」へ、2026年5月21日の最新修正申し立てでは「数百万件」へと拡大。原告側はAudible Magicのオーディオフィンガープリント技術で、Sunoの訓練データ内に自社録音物を多数特定したという。これに対しSunoは5月29日、訓練データの総数を非公開にするよう連邦地方裁判所に申請。「競合に最適化のヒントを与える」が理由だが、どうだろうか?」