音楽生成AI「Udio」は、YouTubeから収集した音声データを用いてモデルの学習を行ったことを認めつつも、「フェアユース(公正な利用)」の主張を強め、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)による著作権侵害の主張を否定した。
4月29日に提出された裁判所への回答文の中で、Udioは「トレーニングデータとして使用するためにYouTubeから音声データを取得したことを認める」とし、「トレーニングデータの一部はYT-DLP(※ストリーミングリッピングプラットフォーム)を利用して取得した」と明言した。
世界3大メジャーレコード各社は2024年6月、Udioと同業Sunoを提訴。AI企業側は、同年8月に提出した裁判所への回答文の中で、レコード会社の著作権で保護された録音物を使用したことを事実上認めたが、フェアユースを主張してきた。
昨年10月には、原告側がUdioによるYouTubeからの著作権保護された音源の「違法なスクレイピング(ウェブコンテンツから特定のデータを自動抽出)」、YouTubeの技術的保護手段を回避したことによるデジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反を主張して、Udioとの訴訟を拡大。Udioはこの追加の訴えの却下を申し立てたが、担当判事が今年4月15日に退けた。
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とワーナー・ミュージック・グループ(WMG)は、それぞれ昨年10月と昨年11月にUdioと和解して訴訟を取り下げたが、SMEによる訴訟は継続している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽生成AIがなぜこれほど高品質なのか——その答えとして、YouTubeの音楽(当然メジャーのMVも含まれるだろう)を学習させていたという、ある意味で予想されていた通りの事実が改めて確認された。
Udioは4月29日の裁判所回答で、YouTubeから音声データを取得したことを認め、YT-DLP(ストリーミング・リッピング・プラットフォーム)の利用まで明言したうえで「フェアユース(公正な利用)」を主張している。
元OpenAI共同設立者のイリヤ・サツキーバー氏は昨年末、「事前訓練に使えるデータを業界は使い果たした」「インターネットは1つしかない」と語っていた(本誌2025年1月記事)。今回Udioが認めた事実は、その予言が現実だったことを裏付ける。
AI企業が質の高い「音楽的知能」を獲得するため、YouTubeという世界最大の音楽ライブラリを避けて通ることは事実上不可能だった——OpenAIがYouTube動画を書き起こしてGPT-4を訓練したとされる疑惑の、音楽版である。
UMG・WMGは既にUdioと和解、ソニー・ミュージック(SME)だけが訴訟を継続中。フェアユース判例の行方が、AI音楽事業の経済モデル全体を左右する局面に入った。」














