パリで25万人が集う日本のポップカルチャーの祭典Japan Expoを取材していたら、くまモンがいた。会わないわけにはいかない。

ステージではくまモンダンスに合わせて「クマモン!」コールが起き、アテンダントのお姉さんの「くまモン知ってますか?」「熊本に行ったことありますか?」という問いかけに、あちこちから手が挙がる。熊本県庁でくまモンの世界展開を担当する斎藤氏によれば、くまモンのJapan Expo出展は2013年から数えて今回で11回目。「反応が年々大きくなっている」と手応えを語る。

そもそもなぜフランスだったのか。「ヨーロッパ最大の日本コミュニティの祭典があり、フランスは昔からアニメや漫画を中心に日本に好感を持ってくださる土地柄。ここから発信していこうと」。誕生は九州新幹線の全線開業を控えた2010年。原作もアニメもない地方キャラクターが、言葉を話さないまま海を渡って13年になる。言葉の壁はないのか尋ねると、答えが良かった。

「可愛らしくて、人々に幸せを与えるというテーマを、身振り手振りとリアクションで表現する。言葉がない分、想像を掻き立てる。万国共通で伝わる部分があるんです」

効果は数字にも表れ始めている。円安もあって、熊本に宿泊するフランス人観光客は年々増加中。意外な牽引役が『ONE PIECE』だ。熊本地震の被災地を中心に、尾田栄一郎氏の寄付とともに設置された麦わらの一味の銅像10体を巡るツアーが外国人観光客の間で人気を呼び、SNS発信が旅を連鎖させているという。

くまモンのIP管理は観光部局ではなく、知事直下の「知事公室」が担う。蒲島前知事の時代からの体制だ。ゆるキャラに見えて、体制は少しもゆるくない。「くまモンから熊本に結びつけてもらい、東京、京都の流れの中で、熊本を目的地の一つとして選んでいただけるよう定着させたい」

パリまでわざわざ会いに来る価値は、あった。営業部長は今日も無言で、万国共通の営業をしている。

(取材・文:MEDIAMIXI編集長 榎本幹朗 7/11 パリ JAPAN EXPO 2026会場にて)