Netflixのゲーム事業が利用を拡大している。現地時間7月16日に実施された2025年第2四半期決算説明会では、クラウドゲームの月間アクティブユーザー数が2025年10月の本格展開以降11倍に拡大したほか、キッズ向けゲームのエンゲージメントも前年比600%を記録したことが明らかにされた。

映像配信サービスとして知られる同社だが、今回示された数字はゲーム利用の拡大だけでなく、サブスクリプション全体の価値を高める戦略が着実に浸透し始めていることもうかがわせる。

Netflixは2021年にモバイルゲーム市場へ参入し、加入者向け特典としてゲームを提供してきた。その後はゲームスタジオの買収を進めるとともに、AAAゲーム開発を見据えた体制づくりにも着手。しかし、一部プロジェクトの中止やスタジオ再編などを経て、現在はクラウドゲームの展開や、自社IPを活用したゲームラインナップの拡充にも力を注いでいる。

クラウドゲームが示す「遊ぶまでのハードル」を下げる戦略

今回の発表で特に目を引くのは、なんといってもクラウドゲームの成長だ。Netflixは対応環境や提供範囲を段階的に広げながら、ダウンロード不要でゲームを遊べる仕組みを整備してきた。映像作品を視聴するような感覚でゲームへアクセスできるクラウドゲームは、動画配信サービスとの親和性が高い。ゲーム機や高性能PCを所有していなくても遊びやすいことから、より幅広い利用者層への訴求も期待される。

もうひとつの成長分野がキッズ向けゲームである。子ども向けアプリ「Netflix Playground」は提供開始後、1日当たりのプレイヤー数が3倍へ増加し、キッズ向けゲーム全体のエンゲージメントも前年比600%となった。子どもの頃から動画だけでなくゲームでもNetflixに触れる機会を増やすことは、長期的なユーザー接点を広げる施策と見ることもできる。人気作品を題材としたゲーム展開を進める同社にとって、映像とゲームを往復する体験は、IP全体の価値を高める重要な取り組みになりつつある。

ゲームは収益源ではなく「継続利用」を支えるコンテンツへ

Netflixは今回の決算説明会において、ゲーム事業を単独の収益源というよりも、会員の継続利用を促す施策のひとつとして位置付けていることも説明している。今回示された利用者数やエンゲージメントの伸びは、そうした戦略が一定の成果を見せ始めていることを示すデータとして注目すべき価値がある。

そして、こうした動きはNetflixだけのものではない。業界ではよく知られている通り、MicrosoftはGame PassとXbox Cloud Gamingを組み合わせ、「どこでも遊べる」ゲーム体験を提供しているほか、AppleもApple ArcadeをApple Oneへ組み込み、音楽や動画と合わせたサブスクリプション全体の価値を高めている。AmazonもPrime会員向け特典としてゲームを拡充しており、ゲームは単体の収益だけでなく、サービス全体の魅力を高めるコンテンツとして位置付けられるケースが増えている。

プラットフォーム競争の鍵は「ゲームを売る」ことではない

こうした変化は、ゲーム業界のビジネスモデルそのものにも通じる。従来、ゲームはソフト販売や追加コンテンツ、ゲーム内課金によって収益を上げることが前提だった。しかし近年では、ゲーム自体の収益性だけではなく、プラットフォーム全体への加入や継続利用を促す役割も重視され始めている。Game PassやApple Arcade、Netflix Gamesはいずれも、「ゲームを売る」のではなく、「ゲームによってサービスを選んでもらう」という発想を共有している点が特徴だ。

そう考えると、今回示された「11倍」という数字は、Netflixのゲーム部門の利用拡大を示すだけではない。ゲームが映像配信サービスの付加価値となり、ユーザーの滞在時間や継続率を高める基盤へ変化しつつあることを示す事例ともいえるだろう。