アマゾン・ドット・コム、グーグル、アップルはロボット部門を擁しており、ストリーミング放映権を巡り、いつの日かスポーツリーグを自ら立ち上げる可能性があるーー。ハリウッド業界メディア「The Ankler」が9月8日、こうした見方を示した。

エンターテインメント業界はこの10年間、自社が所有しておらず、拡大もできず、契約更新のたびに支払額が増え続ける出演者の供給に、その将来を賭けてきた。NFLの米国におけるテレビ・ストリーミング契約は、年間およそ100億ドルの収益を創出。NBAがディズニー、NBCユニバーサル、アマゾンと結んだ11年間の契約総額は750億ドル以上に上り、アマゾン単体でも年間約18億ドルに及ぶ。世界的に見れば、2026年にはストリーミングプラットフォームがスポーツ中継権に約142億ドルを投じると予想されており、これは映画制作業界全体の規模に匹敵する。

スポーツ独特の「希少性」と「緊張感」が多くの視聴者を惹きつけるが、その希少性が拡大の障害ともなっている。主要なスポーツ試合の数は限られ、その大半は既に契約済み。契約更新サイクルが巡るたびに、同じ限られた枠が、より多くの資金を持つより多くの入札者の前に提示されることになる。また、トップアスリートを複製することもできない。こうした問題を、ロボットが解決する可能性がある。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「米業界メディアThe Anklerが、刺激的な仮説を示した。アマゾン、グーグル、アップルはいずれもロボット部門を持つ。ならばいつか、放映権を借りる側から、ロボットのスポーツリーグを自ら作る側へ回るのではないか、という見立てである。荒唐無稽と笑う前に、数字を見る価値はある。NBAの新契約は11年で750億ドル超、世界の配信各社は今年、スポーツ中継権に約142億ドル(約2兆2,400億円)を投じる見込みだ。しかも試合数は増やせず、更新のたびに入札者が増え、値段だけが上がる。配信各社は、所有できず、拡大もできない商品に将来を賭けている。この構造への根本解が「リーグの自作」であり、選手が人間なら育成に何十年もかかるが、ロボットなら複製も改良もできる、という理屈だ。実現性はまだ空想の域を出ない。ただ、高騰し続ける権利料をいつまでも払い続けるより、いっそ自前で作れないかと考え始める買い手が現れても不思議はない。この思考実験は、放映権バブルの臨界点を映す鏡と言えそうだ。」