FacebookやInstagram上の詐欺広告を巡り、メタ・プラットフォームズは相次ぐ訴訟や規制当局による調査に直面している。ロイター通信が昨年12月に公表した調査報告書によると、メタは2024年の詐欺・不正行為に関連する広告収入を、広告収入全体のおよそ10%に当たる約160億ドル(約2兆4,700億円)に上ると見積もっていた。

同社は1日当たり推定150億件の「高リスク」な詐欺広告を配信。中国からの広告収益の19%(約30億ドル)が詐欺に関連していたとされ、詐欺広告の25%を中国が占めているという。中国ではメタのソーシャルメディアの利用が禁止されているが、中国企業による海外消費者向け広告の掲載は容認されている。

一方で、ロイターは、メタが詐欺広告から、故意に利益を得ていたと総じて主張。メタが詐欺防止には構造的に不十分な広告審査システムを維持していただけでなく、場合によっては収益を守るために意図的にその機能を弱めていたとも指摘している。メタは詐欺による収益が、規制当局との和解に要する費用を上回ると試算しており、罰金を抑止力ではなく、事業運営上のコストとして扱っていると報じた。

ロイターの推計について、メタは誤ったものだと反論。自社が詐欺検知ツールを導入し、対策に取り組んでいると強調した。ロイターの報道が事実であれば、メタは自社の詐欺広告に関する問題に気付き、その規模を測定し、是正コストと比較検討した上で、収益を維持することを選んだ企業の実態を描き出していることとなる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Metaの詐欺広告を巡る問題が、訴訟と調査の段階に入っている。発端はロイターの調査報道だ。内部文書によれば、同社は2024年の詐欺・不正関連の広告収入を全体の約1割、約160億ドル(約2兆4,700億円)と見積もり、罰金を抑止力でなく事業コストとして扱っていたと報じられた。事実なら、問題を測定した上で収益を選んだ構図になる。ただ、Meta側の反論にも耳を傾けたい。同社は推計を「粗く過大包摂的」と否定し、対策の実績を並べる。昨年は詐欺広告1億3,400万件超を削除し、詐欺センター関連の約1,200万アカウントを停止。著名人なりすまし広告には顔認識を再導入し、検出量は倍増したという。ミャンマーの詐欺拠点の摘発でも当局と連携した。1日数百億件の広告を審査する規模で、相手は30万人規模の犯罪組織という軍拡競争の実情もある。推計の当否は司法と当局の場で検証されていく。世界最大の広告インフラの責任範囲を測る訴訟として、行方を見ておきたい。」