ウォルト・ディズニーとTikTokは8月5日、ディズニー映画・番組の印象的なシーンを活用して、クリエイターやファンがコンテンツを発見・制作できる「業界初」となる世界規模の提携を発表した。

この提携は、今後数カ月以内に米国で試験的に開始された後、他市場にも順次展開される予定。

契約の一環として、TikTok上に投稿されたディズニーに関するファン制作の動画が、Disney+のショート動画フィード「Verts」で紹介される。新たに開始された「ディズニー・クリエイター・アンバサダー・プログラム」を通じて、TikTokのクリエイターは、ディズニーが保有する膨大なコンテンツライブラリにアクセスできるほか、報酬を獲得したり、認知度を高めたり、限定イベントに参加したり、キャリア開発を追求したりする機会が得られる。

ディズニーは昨年、OpenAIへの10億ドルの投資計画と、同社のAI動画生成ツール「Sora」上で自社キャラクターを使用してショート動画を制作できるようにするライセンス契約を締結していたが、今年3月のSoraのサービス終了で破談となった。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「この提携で面白いのは、コンテンツの流れる向きだ。従来、公式アプリの映像がSNSへ切り抜かれて流れていた。今回は逆で、TikTokでファンが作った動画が、Disney+のショートフィード「Verts」に迎え入れられる。プロの作品が並ぶ公式の城に、ファンの創作が正式に飾られるのだ。
ディズニーの狙いは明快だろう。Disney+はいまNetflix追撃へ縦型動画やAIレコメンドの強化を進めており、ショートフィードを埋める大量のコンテンツと、SNSで実証済みの「バズる型」が要る。それを自社制作で賄うのではなく、世界中のファンの創作力から調達する。
TikTok側も、ディズニーの素材庫という最強の遊び道具をクリエイターに配れる。ファンは素材と報酬と檜舞台を得る。三方が得をする設計である。観る人、作る人、流す場の境界が溶けていく——その最前線の実験と言えそうだ。」