ウォルト・ディズニーのジョシュ・ダマロCEOは、野心的なストリーミング事業の刷新計画を明らかにし、その中心には国際市場に向けた具体的な戦略が据えられている。鍵を握るのは、韓国コンテンツとAIパーソナライゼーションエンジンだ。デジタルメディア「テックタイムズ」が7月30日伝えた。

国際市場では韓国を重視。昨年には現地の動画配信サービス「TVING」と提携しており、Netflixが『イカゲーム』で採った「まず韓国国内向けに制作し、その後グローバル展開する」という手法とは異なり、短期的にはTVINGの韓国コンテンツでDisney+のライブラリを拡大し、長期的に自社オリジナルの現地コンテンツを充足させる計画だ。

ディズニーは、加入者の行動データを学習する「ハイパーパーソナライズ型レコメンデーションエンジン」を開発中。実装されれば、Disney+に対する最も一般的な不満とされる「画一的で人気シリーズばかりが推奨される」という問題が解消される見通しだ。Disney+の月間解約率(2026年初頭時点)は4.8%で、Netflix(約2%)の倍以上となっている。

このAIエンジンは、豊富な過去の視聴データを持つ米国では効果的なパーソナライズを実現できる一方、韓国やその他の新興市場では差別化に時間がかかるとみられる。

ディズニーは、ストリーミング事業の黒字化を達成しており、さらなる成功を目指し、技術やコンテンツに再投資する方針だ。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Disney+の月間解約率4.8%は、Netflixの倍以上という数字だ。ダマロCEOの刷新計画は、この一点から逆算すると分かりやすい。解約の主因は「見るものが尽きる」ことと「レコメンドが画一的」なこと。前者への答えが韓国コンテンツであり、後者への答えがAIパーソナライズエンジンである。韓国ドラマの主要市場は長らくアジア圏や中南米だったが、『イカゲーム』が米欧を含む世界90カ国以上で視聴1位を獲得して以降、世界で最も国境を越えるジャンルとなった。しかしその果実はNetflixの独壇場が続いてきた。毎週配信を何ヶ月も追い続ける韓国ドラマの視聴習慣は解約防止と相性が良く、TVINGとの提携なら自社制作が育つまでの時間も買える。ハリウッド大作より制作費が抑えられ、世界で当たる費用対効果の高さも大きい。フランチャイズ頼みだったDisney+が「日常的に通うサービス」へ変われるか。韓国とAIはその両輪に設定されたが、どのような結果となるかウォッチしたい」