「サイモン&シュスター」の売却から約3年を経て、パラマウント・スカイダンスは書籍事業に再び参入すると発表した。

新設された出版部門「パラマウント・グローバル・パブリッシング」は、ジョシュ・シルバーマン氏が率いる「プロダクツ&エクスペリエンス」部門の傘下に置かれ、グローバル出版部門責任者のエイミー・ジャラショー氏が統括する。まず米国とカナダで事業を展開し、将来的には他市場へも拡大する計画だ。

新部門は、パラマウントの知的財産(IP)から着想を得た出版コンテンツ(印刷物・デジタル・オーディオ)を展開するとともに、新たなIP(オリジナルストーリー)の開発も手がける。小売市場への販売および流通は、今後決定されるパートナーが担当。既存のライセンス戦略も継続し、他の出版社や流通業者と協力してプロジェクトやタイトルを展開していくとしている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「動画配信のIPの供給源として出版社の評価が高まりつつある。ワーナー買収でNetflixの対抗軸を狙うパラマウントが、新たに書籍出版部門を新設した。注目すべきは「自社IPの書籍化」だけでなく、「新たなオリジナルストーリーの開発」も明記された点だ。

書籍から始まり映像化・ゲーム化へと展開するIPの卵を、自らの出版部門で育てるという設計だ。ハリー・ポッターがHBOドラマになり、プロジェクト・ヘイル・メアリーが映画になるように、優れた書籍IPは映像との親和性が高い。

パラマウントがサイモン&シュスターを手放したのはコスト圧縮の判断だったが、今回の再参入は「大手出版社を持つ」のではなく「自社IPに特化した出版機能を内製化する」という全く異なるアプローチだ。流通は外部パートナーに委ねることで、コンテンツ開発に集中する構造を選んだ。映像以外のIPの厚みを増すことが、長期的なNetflixへの対抗力を左右する。作家としても、時代の息吹を感じるニュースだ」