2026年5月15日、Drakeは予告していた『Iceman』に加え、サプライズで『Habibti』『Maid of Honour』を同日に配信した。3枚で計43曲。2023年『For All the Dogs』以来となる単独名義のスタジオ作であり、2024年のKendrick Lamarとの全米を巻き込んだ抗争、そして大ヒットしたKendrick Lamarのディス曲「Not Like Us」を巡り、両者の所属するユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)への訴訟といった騒動を経ての復帰作でもある。このリリースにチャートはどう反応したのか、グローバルから日本まで数字を追ってみたい。

氷塊を使用したプロモーション、そして3作同時リリース

Drakeは2024年から「アイスマン」に言及し、2025年7月に「What Did I Miss?」を初公開した。この曲ではビーフ後に態度を変えたかつての友人たちを匂わせるなど後日談にも踏み込んでいる。「Which One」(feat. Central Cee)などの先行曲を重ねながら、アルバムリリースへの期待を高めていった。2026年4月にはトロント中心部に高さ約4.5メートル(15フィート)の氷塊を設置し、その中に発売日を封じ込めるという大掛かりなプロモーションを行う。ある配信者が氷を割って「5月15日」を突き止めた一方、ファンがハンマーやバーナーで氷塊を壊そうとしたため、最終的にはトロント消防が安全に融解させる事態にもなった。

当日リリースされたのは『Iceman』1枚ではなく3枚であり、驚きをもって迎えられた。関係者ですら3枚同時リリースすることは知らされていなかった。『Iceman』(18曲/Future、Molly Santana、21 Savageが客演)、『Habibti』(11曲/Qendresa、Sexyy Red、PartyNextDoor、Loe Shimmyが客演)、そして『Maid of Honour』(14曲/Central Cee、Stunna Sandy、Sexyy Red、Popcaan、Iconic Savvyが客演)。プロデュースはGordo、O Lil Angelらが手がけた。

リリース初日はグローバルランキング1〜13位を独占

リリース日の数字は際立っていた。NMEによると、Drakeはこの日Spotifyで2026年の「単日最多再生アーティスト」となり、『Iceman』は同年の「アルバム単日最多再生」、「Make Them Cry」は「楽曲単日最多再生」を記録している。

配信初日の5月15日、Spotifyグローバルの日次Top 200は1位から13位までをDrakeの楽曲が占めた。前日まで首位争いをしていたマイケル・ジャクソン「Billie Jean」とジャスティン・ビーバー、ニッキー・ミナージュ「Beauty And A Beat」を押し除けて、「Make Them Cry」は約1,322万再生でランキング1位に初登場。この日だけでTop 200に計44曲Drakeの楽曲がランクイン、44曲の再生数合計は、約1億9,911万となった。

ただし、減衰も同じくらい速かった。翌16日にはマイケル・ジャクソン「Billie Jean」が首位、ジャスティン・ビーバー、ニッキー・ミナージュ「Beauty And A Beat」が2位、Drake「National Treasures」は3位に続いた。Top 10にはDrakeは5曲、Top 200には前日から14曲マイナスの30曲がチャートイン。再生数合計は約9,088万となり、リリース日のおよそ半分に減少した。

17日になるとDrakeの曲群で最もランキングが高い曲は6位の「Janice STFU」となり、ランキングの6〜10位をDrakeの楽曲が占めた。Top 200には前日より7曲マイナスの23曲がチャートインし、再生数合計も約5,788万と前日より4割ほど減った。

週間チャートの動き

5月15日から21日のSpotifyグローバル週間Top 200に、Drakeは計27曲(23曲が初登場)を送り込んだ。最高位は初日1位の「Make Them Cry」ではなく「Janice STFU」の3位だった。Top 10に5曲が入り、合計再生数は約5億4,878万に達している。

翌週(5/22〜5/28)、Drake関連のチャートイン曲は15曲へと半減した(前週比−12曲)。「Make Them Know」「Little Birdie」「WNBA」などがTop 200から姿を消している。最高位は引き続き「Janice STFU」だがランキングは3位から5位へ下がった。Top 10は1曲にとどまり、Drake名義の合計再生数は約2億1,198万、前週より6割ほど落ち込んだ。

一方で「One Dance」(チャート280週目)が46位、「Passionfruit」(62週目)が183位に残っており、新作とは別にカタログとしての強さもうかがえる。

日本チャートには不在

Spotify日本の日次・週間Top 200のいずれを見ても、Drakeの楽曲は1曲もランクインしていない。痕跡があるのはアルバムとアーティスト単位のみだ。5/15〜5/21時点では日本トップアルバム42位に「Iceman」、トップアーティスト53位にDrake。続く5/22〜5/28もトップアルバム99位、トップアーティスト98位に名は残るが、いずれも初週から2週目にかけて順位を下げた。世界規模で大量にチャートインした43曲が、日本のチャートには届かなかった。グローバルでの大量チャートインと、日本のチャートでの不在。その対照が、今回のリリースの特徴として表れている。