エミネムの音楽カタログ管理会社8マイル・スタイルがメタ・プラットフォームズを相手に提起した著作権侵害訴訟を巡り、米連邦地方裁判所は6月16日、メタが求めていた著作権侵害の主張の却下の申し立てを退け、審理の継続を認めた。
8マイルは昨年、メタが自社の著作権で保護された楽曲243曲をFacebook、Instagram、WhatsAppの各音楽ライブラリに無断で保存していたとして提訴。法定損害賠償の上限額である計1億940万ドル(約175億8,000万円)の支払いを求めている。
担当判事は今回、8マイルの訴状が「メタによる侵害行為を十分に信憑性を持って主張できるだけの内容を記載している。(8マイルの主張を)真実と仮定すれば、著作権対象物の無断複製に当たる」との判決を下した。
一方で、二次的侵害の訴えは根拠を欠いているとして却下。8マイルは、メタが「数十億人」ものユーザーに対し、ソーシャルメディアの投稿に違法な楽曲を追加するよう誘導したとして、追加の損害賠償を求めていた。ただ、8マイルが主張を裏付ける事例を提示できれば、それらを修正訴状として再提出できる可能性が残されている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「訴訟の背景には、SNSとストリーミングの「音楽の位置づけの差」がありそうだ。Spotifyは音楽そのものが商品だが、Facebookなど多くのSNSにとって音楽は「投稿を彩るおまけ」で、楽曲使用を主目的としない設計だ。もっとも、Facebookと音楽の縁は深い。初代社長ショーン・パーカー氏はNapster(無料音楽共有で音楽業界を揺るがしたサービス)の共同創業者で、その理想を合法的に継ぐSpotifyに早くから出資、2011年にFacebook連携を実現させた。ザッカーバーグ氏自身も当時「Spotifyは絶好調だ」と公に称賛している。その縁もあってか、Metaは2017年に大手初のUMG(世界最大の音楽会社)包括契約を結び、2024年にはWhatsAppまで対象を拡大、無断AI生成対策まで盛り込んだ。音楽に理解を示してきたMetaにとっても、SNSが「おまけ」としてきた楽曲の対価が、改めて問われる局面と読み取れる。」














