メタ・プラットフォームズは、ユーザーが持っている服を使ってコーディネートのアイデアを組み立てられるAIファッションアプリ「Style Sketch」を、ひっそりとリリースした。米国のオンラインエンターテインメント専門メディア「Tubefilter」などが伝えた。

同アプリはFacebookやInstagramと連携し、投稿した写真からバーチャルクローゼットを作成できるのが特徴。「#OOTD」というトレンドと結びついている点で、数あるファッションアプリの中でも特に興味深い存在となっている。多くのクリエイターがソーシャルメディア上で「今日のコーディネート」という投稿を通じて自身のファッションセンスを表現しており、こうした投稿には通常#OOTDとハッシュタグが付けられている。

Style Sketchは、AIがユーザーのスタイルに合わせて、手持ちの服を組み合わせたコーディネート案を提案してくれ、自分の体型や肌の色に合わせたモデルを使ってバーチャル試着も可能。天気アプリとの連携や、選択した目的地に合わせた服装を提案する旅行プランナーなどの機能も備える。同アプリは現時点で、シンガポール、インドネシア、タイのみで利用可能のようだ。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「このアプリの強みは、Metaが「原料」を既に持っている点にある。AIが手持ち服からコーデを提案するクローゼットアプリ自体は先行例が複数あるが、多くは最初に服を一枚ずつ撮影・登録する手間で挫折しやすい。Style Sketchは、ユーザーが何年も積み上げてきたInstagramやFacebookの投稿写真そのものをクローゼットの原料にできる。#OOTD(「今日のコーデ」の意のハッシュタグ)を付けて服装を投稿する文化は世界中に定着しており、その自撮り資産が本人のスタイルをAIに教える教師データになるわけだ。競争も始まっている。Googleは試着アプリDopplで同領域に参入済みで、SNSの投稿履歴を握るMetaと、世界の商品データと検索を握るGoogleが、異なる資産でファッションの入口を奪い合う構図だ。ユーザーが遊びで蓄積したデータが別の価値に化ける。プラットフォーム企業の強さの源泉を改めて見せつける一手だと思う。」