ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)との著作権侵害訴訟に直面している音楽生成AI「Suno」は、アップルに対し、両大手レコード会社がカタログを「武器」として使用しているかなどを証言させるべく闘っている。Sunoは10月27日、アップルによる証言聴取の召喚状差し止め請求に反対する申し立てを行った。
Sunoはアップルに対し、両大手レコード会社との現在のライセンス交渉、両レーベルのカタログのいずれかまたは両方を除いてApple Musicを運営することを検討したかどうか、Apple Musicにおけるストリーミング不正、Sunoおよび本件に関してアップルがレコードレーベルや全米レコード協会(RIAA)と交わしたやり取りについて証言するよう求めている。Sunoは、これらの論点が自社の2つの抗弁ーー「フェアユース(公正利用)」と、権利者が著作権法で保護される範囲を超えて譲歩を引き出すために著作権を利用したという「著作権の濫用」ーーにつながると主張している。
アップルはこれまで、原告・被告側から出された召喚状6件に応じ、Apple Music上の数百万曲に関するデータを提出したと説明。メジャーレーベル抜きでApple Musicが成り立つかというSunoの問いについて「音楽業界への新規参入者がアップルの事業運営に関する情報を得ようとする『手当たり次第の調査』」だとし、自社のライセンス交渉やAI戦略が危険にさらされる可能性があると述べている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「当事者でないAppleの名が出てくるのは、米国の民事訴訟に「ディスカバリー」という証拠開示の制度があるからだ。裁判所の召喚状を通じ、争点に関わる文書や証言を第三者からも強制的に集められる仕組みで、SunoはこれをAppleに向けた。中でも際どいのが「UMGかソニーのカタログを外してApple Musicの運営を検討したことがあるか」という証言要求だ。狙いは抗弁の一つ「著作権の濫用」の立証にある。権利者が著作権を本来の保護範囲を超えた圧力の道具、記事の言葉でいえば「武器」として使った場合、その権利行使が制限されうるという法理だ。もしAppleが「メジャー抜きでは成り立たない」と内部で結論づけていたなら、その支配力で反AIの譲歩を引き出したというSunoの筋書きに証拠を与える。Appleは「手当たり次第の調査」と拒むが、公聴会の判断次第では、業界で最も秘匿されてきた交渉の内側が法廷記録に残ることになる。」














