米グローバルメディア企業ペンスキー・メディア・コーポレーション(PMC)は8月28日、テキサス州オースティンで毎年3月に開催されている、テクノロジーとポップカルチャーが融合するフェスティバル「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」の全株式を取得したと発表した。取引額など詳細は明らかにしていない。

SXSWは本社をオースティンに維持し、同地で主力となるカンファレンスやフェスティバル、ならびに「SXSW EDU」を引き続き開催していくとしている。

ペンスキーは、SXSWが新型コロナウイルス流行により破産の危機に直面していた2021年に合弁会社を通じて株式50%を取得。2023年に持株比率を1ポイント引き上げ、過半数の支配権を獲得していた。今回の取引により、30年以上にわたりSXSW創業者らによって構成されていた持ち株会社SXSWホールディングスは精算される予定だ。

ペンスキーのジェイ・ペンスキー会長兼CEOは「プレミアムなライブ体験」が同社の将来にとって極めて重要であると指摘。SXSWに対してさらなる支援を行うことを約束した。

ペンスキーのライブイベント事業には、ゴールデングローブ賞、アメリカン・ミュージック・アワード(AMAs)、アカデミー・オブ・カントリー・ミュージック・アワード、ビルボード・ミュージック・アワードなどが含まれる。同社は「バラエティー」「ザ・ハリウッド・リポーター(THR)」「ローリング・ストーン」「ビルボード」などエンターテインメント系出版物も所有している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「ビルボードの親会社が、世界最大の音楽コンベンションSXSWの株式を100%取得した。米ペンスキー・メディアである。同社はバラエティー、ローリング・ストーン、THRと業界メディアを束ね、ゴールデングローブ賞やビルボード・ミュージック・アワードなど授賞式も多数運営する。そこにSXSWの完全所有が加わった。ペンスキーCEOの言葉が戦略を語る——「プレミアムなライブ体験」が会社の将来に極めて重要だ、と。記事や映像は無料の情報に埋もれやすいが、その場に行かないと得られない体験は値崩れしない。メディア企業がイベントという「現場」を買い集めるのは、この価値の逆転への布石だろう。私たちも今年3月、MusicmanとMEDIAMIXIで現地取材の特集を組んだが、産業と文化の未来が交差するあの熱気は、確かに配信では味わえない。報じる会社から、体験を主催する会社へ。メディア業の重心移動を象徴する買収である。」