視聴者はメディア業界の多くの関係者が予想していたよりもはるかに好意的に、AIによる吹き替えを受け入れており、国際市場で多くの場合、オリジナルの英語コンテンツを上回る成果を上げているーー。AIを活用した動画のアクセシビリティおよびローカライゼーション企業である米3Play Mediaが、自社のデータを基に、こうした見解を明らかにした。
同社のAI音声による吹き替えコンテンツは、YouTubeで3,000万時間以上の視聴時間を記録。8つの言語を対象とした2か月間の期間において、AI音声による現地語吹き替え版は、オリジナルの英語音声トラックと比較して平均視聴時間が24%長かったという。この向上は、ブランドエンゲージメントを直接高め、これまでリーチできなかった市場における収益機会を切り拓くことにつながる。
同社は、こうした吹き替えの品質は、完全自動化されたシステムではなく「ヒューマン・イン・ザ・ループ」のワークフローに支えられていると強調。訓練を受けた言語専門家が、プロセス全体を通じて声の質感、トーン、タイミング、文化的ニュアンスを調整しており、吹き替えの音声を自然なものにするためには人間のレビューが不可欠だとしている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「興味深いデータが出た。ローカライズ企業3Play Mediaによると、同社のAI音声吹き替え版は、8言語・2カ月の比較で、英語の原語版より平均視聴時間が24%長かったという。YouTube上の累計視聴は3,000万時間を超えた。吹き替えといえば、原音の演技を損なう「妥協の選択肢」と語られがちだった。だがこの数字は逆を示す。自分の言葉で観られるコンテンツは、字幕を追う負担がなく、ながら視聴にも耐え、結果として長く観られる。考えてみれば日本人には馴染み深い話だ。海外ドラマも洋画も、テレビでは吹き替えが標準で、名優の声が作品の顔になってきた。世界の視聴者も同じ快適さを求めており、AIがその供給の壁——コストと時間——を崩し始めた、ということだろう。事業者の自社データゆえ割り引きは必要だが、方向は見えている。言語の壁の内側で眠っていた視聴時間が、これから世界中で掘り起こされていくのだろう。」














