WAKAが2026年7月に実施した調査で、30〜69歳の男女640名のうち78.6%が「Roblox」を知らないと回答し、企業によるマーケティング活用を知っていた人はわずか5.2%にとどまったことが明らかになった。YouTubeやTikTok、Instagramといった主要デジタルサービスの認知率が軒並み9割を超えるなか、Robloxだけが突出して低い水準にある。
ユーザー生成コンテンツで急拡大したプラットフォーム
そもそもRobloxとは、ユーザー自身が3D空間でゲームやワールドを制作・公開し、世界中の人と遊べるUGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームだ。「ゲーム版YouTube」とも称され、独自通貨「Robux」によるアイテム売買やアバター文化を軸に、ゲームとSNS、経済圏を融合させた場として拡大してきた。
主なユーザー層はZ世代・α世代で、2025年第4四半期における世界の日間アクティブユーザー数(DAU)は1.44億人に達する。2021年3月のニューヨーク証券取引所上場を機に利用者拡大が進み、海外ではナイキの「ナイキランド」、グッチの期間限定「Gucci Garden」など、ラグジュアリー・スポーツブランドの参入が先行してきた。国内でも住友商事が「Omochi Studio」名義で複数コンテンツを配信し、和風ホラーゲーム「ペタペタサマ」は訪問数1億回を突破するなど、企業側の活用はすでに一定の実績を積み上げている。
企業活用は進むのに消費者の認知は追いつかず
つまり供給側の動きは着実に進む一方、受容側である一般消費者の認知が追いついていない非対称な構図が、今回の調査から浮かび上がった。年代別では企業活用の認知率が30代23.8%に対し60代は2.5%まで落ち込み、年代が上がるほど低下する傾向が鮮明だ。知らなかった理由は「情報に触れる機会がなかった」が52.1%と最多で、単純な情報接触機会の不足が主因とみられる。
一方で、Robloxを知っている層に限れば評価は一変する。「Z世代・α世代向けマーケティングとして有効」と回答した割合は56.9%に達し、今後の活用に関心を示す割合も認知なし層の4.6倍に上った。
とりわけ30〜40代の子育て層(認知率44.8%、有効性評価34.3%)や世帯年収1000万円以上の層(認知率32.6%、有効性評価28.1%)では、認知・評価ともに全体平均を上回った。認知のきっかけは「SNSで見た」が37.2%、「子ども・家族から」が23.4%を占め、広告出稿によらない家庭内・SNS経由の伝播が認知拡大の主経路になっていることがうかがえる。
「認知先行・理解後追い」は業界の経験則
同様の「認知先行・理解後追い」という構造は、2022年前後のメタバースブームでも観測されている。当時の調査では言葉としての認知率が6割を超える一方、内容を詳しく説明できる層は1割に満たなかった。新興プラットフォームが一般層に浸透するまでには、供給側の実績が積み上がってからも一定の時間差が伴うことが、業界の経験則として示されている。
今回の結果は、Robloxの認知拡大がまだ途上にある一方、子育て層や高所得層では評価がすでに先行している実態も示した。企業にとっては認知率の低さを弱点と捉えるより、子どもを起点とした情報伝播を前提にターゲットを絞り込む発想への転換が、次の一手を左右しそうだ。














