欧州委員会は2026年8月31日、ゲームプラットフォーム「Roblox」と、掲示板型SNS「Reddit」を、EUのデジタルサービス法(DSA)における「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定した。同時に、OpenAIの「ChatGPT」が「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定されている。ゲームプラットフォームとしては初の指定になるとRoblox側は説明している。

そもそもVLOPとは何か

DSAは、違法・有害なコンテンツへの対応やアルゴリズムの透明性を事業者に求めるEUの法律である。なかでもEU域内の月間平均利用者数が4500万人以上、つまりEU人口のおよそ1割にあたる規模に達したサービスは、VLOPまたはVLOSEに指定され、通常より重い義務が上乗せされる。

2023年4月にFacebookやTikTok、Apple App Storeなど17サービスが第一弾として指定されて以来、閾値を超えたサービスが順次追加されてきた。指定は罰則ではなく、監督の枠組みが一段と厳しくなることを意味する。

なぜRobloxが対象になったのか

指定の根拠は、各社が自ら申告した利用者数だ。報道によれば、EU域内の月間平均でRobloxは約4800万人、Redditは5720万人、ChatGPTの検索機能は約1億5900万人に達したとされる。RobloxとRedditは、ユーザーが作ったゲームや投稿を第三者に向けて流通させる場であるため「プラットフォーム」に該当した。

一方のChatGPTは、利用者の入力に応じてウェブを検索する機能を持つ点が決め手となり、「検索エンジン」と判断されている。AIチャットボットがこの区分に入るのは初で、生成AIサービスもDSAの射程に入りうることを示した。

2027年1月までに求められること

本事例で挙がった3つのサービスは、通知から4カ月後の2027年1月までに追加義務へ対応しなければならない。中心になるのは、自社のサービスとアルゴリズムがもたらす「システミックリスク」の評価と低減である。違法コンテンツの拡散、未成年への悪影響、利用者の心身の健康、基本的権利、選挙プロセス、公共の安全といった領域が対象だ。

加えて年次の独立監査や、誰がどう出稿したかを検索できる広告データベースの公開も課される。なお未成年の行動履歴に基づくターゲティング広告の禁止は、指定の有無にかかわらずDSAが全プラットフォームに課している義務だ。監督は加盟国ではなく欧州委員会が直接担い、違反が認定されれば全世界年間売上高の最大6%にあたる制裁金が科されうる。

規制と自主対応の追いかけっこ

Robloxへの圧力はEUに限らない。米国では2026年8月、上院司法委員会の小委員会が児童の安全をめぐる調査を開始した。州レベルでも司法長官による提訴が相次ぎ、2026年4月にはアラバマ、ウェストバージニア、ネバダの3州と総額3580万ドルで和解している。

同社はこれに先回りする形で、2026年1月にチャット利用時の顔による年齢推定を全世界で必須化した。欧州法人の責任者は、EUでこの規模に達した初のゲームプラットフォームであることに触れつつ、安全性は事業の土台だとして委員会との対話を続ける姿勢を示した。

国内のUGC事業者にとっての意味

日本でも2025年4月に情報流通プラットフォーム対処法が施行され、大規模事業者に削除対応の迅速化と透明化が義務づけられた。ただし主眼は誹謗中傷などの権利侵害への対処であり、DSAのようなリスク評価義務までは踏み込んでいない。

今回の指定が示すのは、UGC型のゲームプラットフォームが「ゲーム」ではなく「情報が流通する場」として規制されたという事実である。メタバースやUGCを事業の柱に据える国内企業にとっても、対岸の火事とは言えないのではないだろうか。