カシオ計算機は7月15日、耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」のデジタル展開として、ゲームプラットフォーム「Roblox」で公式コンテンツの提供を開始した。アバター向け時計アイテムの販売に加え、ブランドの世界観を体験できる公式ワールド「Challenge the Skate Obby : G-SHOCK」を公開する。今回の施策はデジタルアイテムの販売にとどまらず、ゲーム体験そのものをブランド価値と結び付けるマーケティング戦略として注目される。

Robloxでは「DW-5600」と「GA-2100」を再現した全12種類のアバター向け時計アイテムを販売。装着した状態で公式ワールドへ入ると、特殊エフェクトが発動する機能も備える。

また、同時公開された「Challenge the Skate Obby : G-SHOCK」は、スケートボードによる障害物レースを題材とし、実際のG-SHOCK品質試験をモチーフにしたコースを通じてブランドが掲げる「タフネス」の世界観をゲームプレイへ落とし込んでいる。

「VIRTUAL G-SHOCK」の次なる展開

今回の取り組みは、2023年に始動した「VIRTUAL G-SHOCK」プロジェクトの一環である。同プロジェクトではNFTやメタバース領域を中心にデジタル空間ならではのコンテンツ創出やコミュニティ形成を進めており、その活動を約1億5000万人超のデイリーアクティブユーザー(DAU)を抱えるRobloxへ広げた格好だ。若年層へのブランド接点を強化する狙いがある。

こうした動きは海外でも広がっている。NikeはRoblox上で「NIKELAND」を展開し、Gucciはデジタルファッションを販売、Vansもブランド体験型ワールド「Vans World」を公開した。さらにRoblox以外でも、DisneyがFortniteを活用したデジタル空間戦略を推進するなど、ゲームプラットフォームは企業がブランド世界を構築する場として存在感を高めている。

「ブランドを遊ぶ」時代へ

近年のブランドマーケティングは、ゲーム内広告や期間限定コラボを実施する段階から、ブランド独自のゲーム体験を提供する段階へ移行しつつある。G-SHOCKもロゴや商品を前面に押し出すのではなく、耐久性やストリートカルチャーといったブランドイメージをゲームデザインへ組み込み、「遊ぶことでブランドを理解する」体験を目指している点が特徴と言える。

RobloxやFortniteのようなUGC型ゲームプラットフォームでは、企業が独自の空間やアイテムを提供する事例が年々増加している。今回のG-SHOCKの展開は、時計メーカーのゲーム参入という話題にとどまらず、ゲームプラットフォームが企業と消費者をつなぐブランド体験のインフラへ変化していることを示す象徴的な事例として位置付けられるだろう。