Spotifyの物議を醸している「ディスカバリーモード(パーソナライズプレイリストに楽曲をプッシュ)」に、キャンペーンの影響を把握し、その価値をより明確に証明するためのAI分析ツール「キャンペーンリフト」が追加された。
このツールは、機械学習を活用し、ディスカバリーモードのコンテキストにおける実際の再生数を、同期間における予測ベースライン再生数(ディスカバリーモードキャンペーンなしの場合)と比較することで、再生数の伸びを推定。この推定は、Spotifyの過去データ(過去の「ディスカバリーモード」キャンペーンを含む)、アーティストの月間リスナー数とジャンル、およびパーソナライズドプレイリストへの過去の掲載実績などに基づく。
同社は「オーディエンスの拡大」「長期的なエンゲージメント」「ストリーミング数」の3つのカテゴリーにわたる指標を提供している。
ディスカバリーモードは、ストリーミングサービスの特定セクションでの楽曲掲載と引き換えに、ロイヤリティの支払額を低く抑えるという仕組みのため、ラジオ局に放送料を密かに支払う「ペイオラ」と類似しているとして、2020年の導入当初から批判に直面している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ディスカバリーモードには、導入以来ついて回る批判がある。おすすめ枠への掲載と引き換えにロイヤリティを低く抑える仕組みが、ラジオ局に金を渡して曲をかけさせた「ペイオラ」の現代版ではないか、というものだ。
今回の新指標「キャンペーンリフト」は、その批判への一つの応答と読める。AIが「使わなかった場合」の推定と実数を比べ、効果を数字で開示する。つまり、報酬を減らしてでも使う価値があるのかを、アーティスト自身が検証できるようにしたのだ。
効果が透明になれば、割に合わない者は去り、合う者だけが残る。ブラックボックスの優遇と言われないための、透明化という回答でもあるだろう。
ペイオラとの決定的な違いは、この仕組みが公開され、誰でも使え、効果が測れる点にある。批判に廃止で応えるのではなく、開示で応える。プラットフォームの統治のあり方として、一つの形かもしれない。」














