NetflixやSpotify、YouTubeやTikTokなどの大手エンターテインメントアプリは、扱うコンテンツのフォーマットが、音楽、動画、ポッドキャスト、ゲームなど多岐にわたるにつれ、似たものになりつつある。TechCrunchは、今後はどのフォーマットが勝つかではなく、どのアプリがエンタメの拠点となるかが争点だと主張している。
マルチフォーマット化の背景には、市場の成熟による成長鈍化で、各社が利用時間やユーザー当たり収益を競うようになっていること、また、複数のフォーマットを横断し活動することが多い今日のクリエイターに合わせ、全コンテンツを一カ所に集約する場を提供することが理にかなっていることがある。加えて、AIを活用することで、1つの企業が複数のフォーマットを効率的に構築・運用できるようになったことも大きい。
フォーマットが差別化要因でなくなった今、これらアプリが提供する価値は、ユーザーが次に求めているものと上手く結びつけられことにかかっており、ここでもAIが活躍する。さまざまなフォーマットにわたるコンテンツのレコメンデーションを容易にし、パーソナライゼーションを高度化すると同時に、ユーザーがレコメンデーションの生成方法をより制御できるようにする。
消費者はアプリを切り替える理由が少なくなるため、利用頻度が高いアプリほどユーザーデータが蓄積され、さらなるユーザーの囲い込みにつながる。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「NetflixにSpotify、YouTubeにTikTok。それぞれ得意な形式で棲み分けてきた各社が、いま急速に似てきている。Spotifyは動画やオーディオブックを拡げ、YouTubeは番組機能でNetflixに寄り、Netflixはゲームやポッドキャストに手を伸ばす。
TechCrunchの見立ては明快で、争点はもう「どの形式が勝つか」ではなく「どのアプリがエンタメの拠点になるか」だという。この総合化を可能にしたのがAIだ。制作も整理も運用もAIが横断的に担うことで、一社が複数の形式を効率よく回せるようになり、多角化の壁が一気に下がった。
そして形式で差がつかなくなった先の勝負も、またAIである。形式をまたいで好みを学び、次に求めるものを差し出すレコメンドの質が、拠点に選ばれる決め手になる。
壁を壊したのもAI、その先の武器もAI。近い将来、私たちは「何を観るか」の前に「どこに住むか」を選ぶことになるかもしれない。」














