Spotifyは7月10日、同プラットフォームの人気プレイリストの一つである、毎週金曜に更新されるパーソナライズプレイリスト「Release Radar」で、リスナーが自分に表示されるコンテンツを細かく調整できるようにすると発表した。

プレイリストを特定のジャンルに絞り込んだり、初めて聴くアーティストに焦点を当てたりすることが可能となった。リスナーは「新しいアーティストを発見」「編集部のおすすめ」「ポップ」など、最大5つのオプションから選択できる。この機能は現在、モバイルアプリとデスクトップアプリで順次展開されており、利用可能になると「Release Radar」プレイリストの上部に表示されるようになる。

Spotifyはまた、アルゴリズムを微調整して「よりパーソナライズされたおすすめ」を提供するとともに、カバーアートやヘッダーアートを刷新した新しいデザインを導入する。

同社は近年、主力プレイリストや音楽発見機能に相次いで変更を加えている。その中には、編集スタッフが選んだ新譜のおすすめ機能の導入も含まれており、アルゴリズムに支配される生活に対する反発が高まっていることへの対応とみられる。

(文:坂本 泉)

 

榎本編集長「Spotifyが、看板の新曲プレイリストに「自分で調整できる」機能を加えた。この小さな変化の裏に、大きな地殻変動が見える。いま、機械任せのおすすめに対する「静かな反乱」が世界で起きているのだ。

象徴的なのが、フランス発の音楽サービスQobuzの躍進である。専門家が一枚一枚選ぶ「人の手のキュレーション」を看板に掲げ、アルゴリズム疲れしたリスナーの乗り換え先として支持を広げている。

「スーパーマーケットのような配信サービスが並ぶなかの、デジタルレコード店」——そんな自己紹介が、心に響く時代になった。InstagramやSpotifyが相次いで「自分で調整できる」機能を出すのも、この流れへの対応だ。

対話型AIの普及で、機械とやり取りしながら好みを伝える感覚も広がった。すべてを機械に委ねる時代から、人の温もりや自分の意思を取り戻す時代へ。その転換点が見えてくる。