ラスベガスに総工費23億ドルの球体型アリーナ「スフィア(Sphere)」を所有する米スフィア・エンターテインメントは8月31日、上演中のオリジナル没入型コンテンツシリーズ「スフィア・エクスペリエンス」の『オズの魔法使い』に、9月25日から4Dエフェクト(体感型の特殊効果)を追加・拡充すると発表した。
同作は1年前の公開以来、興行収入が4億5,000万ドル(約699億円)を突破しており、現在2027年初頭までのチケットが販売されている。「スフィア」の巨大スクリーンと、炎や落下するリンゴ、会場内に発生する竜巻など、会場内で演出される特殊効果を融合させた作品となっている。
新しく拡充された4Dエフェクトには、アニマトロニクス製の翼のある猿、テーマに合わせた香り、グリンダ・グリッター、花火、空から降ってくる香りのついたリンゴなどが含まれる。
将来的には他の上映作品、あるいはコンサートにもこういった4Dが導入される可能性も考えられる。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「スフィアの発表で注目したいのは、投資の順番だ。『オズの魔法使い』は公開から1年で約699億円を稼ぎ、チケットは2027年初頭まで売れている。つまり、すでに大成功している演目である。そこへ、動く猿や香り、花火(実物)といった新しい4D演出を追加投入する。当たってから、さらに磨く——この順番が巧い。興行の世界では、ヒット作は「完成品」として消費され、次の新作開発に資金が向かいがちだ。だがスフィアは、ヒットを「育て続ける対象」として扱う。演出の追加は、一度観た客に再訪の理由を与え、口コミを更新し、ロングランの寿命を延ばす。テーマパークがアトラクションを定期的に刷新して常連を呼び戻す、あの運営術の劇場版である。総工費23億ドルの箱は、作品を上映する場所ではなく、作品を成長させる装置なのだ。将来はコンサートへの4D導入も視野という。ライブ体験の進化は、興行の教科書を静かに書き換えている。」














