ウォルト・ディズニー・カンパニーは、「YouTubeの道徳哲学者」とも称されるダール・マンと提携。YouTubeとNetflixが繰り広げるクリエイター争奪戦に、ディズニーが参入する可能性も考えられる。

YouTubeなどで人気を博している道徳劇で知られるダール・マン・スタジオが、ディズニーにオリジナルコンテンツ20話を供給する。これらエピソードは子供、10代、家族向けとなる見通し。

ディズニーは、Disney+を「包括的な会員制エコシステム」に変革する目標を掲げており、この一環で、外部クリエイターによるコンテンツを取り入れる意向を示唆。先にはTikTokと提携し、ディズニーファンのTikTok動画が両プラットフォームで再生できるようになった。

ダール・マンは世界で1億7,000万人のフォロワーを擁し、各プラットフォームを合わせた再生回数は週当たり3億回近くに上る。Samsung TV Plusなどにもオリジナル番組を供給しており、今年初めにはフォックス・エンターテインメントと、ストーリー性のある縦型動画40本の制作を巡る契約を結んだ。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「ダール・マンという名前は日本では馴染みが薄いが、その存在は興味深い。「YouTubeの道徳哲学者」と称され、いじめや正直さ、思いやりを主題にした短い物語——いわば現代の道徳劇——で世界1億7,000万人のフォロワーを集め、週3億回近く再生される。過激さや炎上で数字を稼ぐ作り手が目立つクリエイター経済で、真逆の「善き話」が最大級の帝国を築いた事実は、それ自体が示唆的だ。ディズニーがこの人物を選んだ理由も、そこにあるだろう。同社が外部クリエイターを起用する際の最大の関門は、ファミリーブランドを損なわない安全性である。ダール・マンの作品群は、子どもに見せられる実績を10年分積んでいる。数字と安心を兼ね備えた供給元は、実はごく少ない。クリエイター争奪戦の次の局面は、再生数の奪い合いから、ブランドに合う作り手の目利き合戦へ。その最初の模範例になりそうな提携である。」