Garenaは2026年8月3日、ポケットペアから正式ライセンスを受けたモバイル向けMMORPG『Palworld Online(パルワールド オンライン)』を発表した。2026年内の配信を予定しており、原作のオープンワールド探索やサバイバル・育成要素を継承しつつ、共同拠点の建設やワールドボス討伐などのマルチ協力プレイを軸に据える。タッチ操作に最適化したUIや自動移動などの簡易操作にも対応し、幅広い端末スペックでの快適な動作を目指すという。
注目すべきは、これがポケットペアにとって初めての『パルワールド』モバイル化ではない点だ。
複線化するモバイル展開
2025年10月には、KRAFTON傘下のPUBG STUDIOSが開発を手がける『Palworld Mobile(パルワールドモバイル)』が発表され、同年11月の「G-STAR 2025」で実機プレイが公開された。
単一のパートナーへ独占ライセンスを付与するのではなく、地域や開発ラインの異なる複数社へ並行してモバイル展開を委ねる手法は、日本のゲーム企業としては異例といえる。IPの露出機会を最大化しつつ、一社依存による開発・運用リスクを分散する狙いがあるとみられ、国内の他IPホルダーにとっても注目のケーススタディとなる。
訴訟係争下における戦略的判断
今回の発表は、任天堂および株式会社ポケモンとの特許権侵害訴訟が続く中での動きでもある。2024年9月の提訴以降、関連特許を巡っては日米の特許庁から拒絶理由通知が出されるなど審査の難航が報じられており、現在の争点は事実上、仕様変更前の旧バージョンに限定されているとの見方もある。
また海外の専門メディアなどの試算によれば、仮に任天堂側が勝訴した場合でも損害賠償額は最大500万円程度にとどまるとの分析もあり、法的リスクの不確定要素が一定程度整理されたことが、ライセンス拡大の判断を後押しした可能性がある。今秋には証拠手続きや裁判所による見解提示が控えているとされ、決着前の商業展開拡大という点は引き続き注視される。
Garenaが担うグローバルパブリッシング機能
2009年にシンガポールでForrest Li氏が設立したGarenaは、自社開発の『Free Fire』で2024年にデイリーアクティブユーザー数(DAU)1億人超を記録するなど、世界屈指のモバイルゲーム運用実績を持つ。同作は2025年にKADOKAWAとの共同出資によるアニメ化も決定しており、ゲームIPをクロスメディアへ広げる手腕も示してきた。直近では、カプコンIPである『モンスターハンター アウトランダーズ』(開発:TiMi Studio Group)の東南アジア地域での配信権を獲得するなど、日本発の強力なコンテンツをグローバル市場へ橋渡しする役割を強めている。
元となる『パルワールド』本編は、2026年7月10日に正式版(1.0)がリリースされ、直前の同月8日時点で総プレイヤー数が4,000万人を突破した。IPの話題性と認知度が極めて高いタイミングをとらえた今回の発表は、きわめて計算されたマーケティングの一環と言える。
サバイバルクラフト系IPのモバイルMMO化としては『ARK: Survival Evolved』などの前例があるが、国内の育成ゲーム市場では『ポケモンGO』や『ポケモンスリープ』が強固な盤面を築いている。MMOとしてのネットワーク効果を生かし、『Palworld Online』がこの成熟市場でどのように独自性を打ち出すかが今後の焦点となる。
単一のIPを地域や機能別で複数のパブリッシャーに振り分けるポケットペアのアプローチは、自社ですべてを抱え込みがちな国内のゲーム企業にとっても示唆に富む。海外パートナーの現地知見を活用しながらリスクを分散し、複数の収益源を同時に育てる構造は、今後のグローバル展開における有力なモデルケースとなりそうだ。














