東京ゲームショウ2026が開幕した9月17日、インディーゲームパブリッシャーのPhoenixxが新作『THE FIRST ZOMBIE』を発表した。プロデューサーはTBS『水曜日のダウンタウン』などを手がける藤井健太郎氏だ。対応機種はNintendo SwitchとPC(Steam)で、配信日、価格、ジャンルはいずれも未定。同日にSteamのストアページも公開された。

主人公は、ある朝目覚めるとゾンビになっていた平凡な青年。彼は疲れ知らずの体を喜び、みんなをゾンビにすれば世界を救えると思いつく。プレイヤーは街の人間をゾンビに変えて仲間を増やし、渋谷や新宿、上野といった東京の街を制圧していく。ゾンビを倒すのではなく増やす本作を、リリースは”逆ゾンビゲー”と称している。TGSのPhoenixxなどの共同ブースでは、試遊こそないもののティザー映像の上映とノベルティ配布を行っている。

地上波の外へ広がる藤井健太郎氏の仕事

藤井氏は2003年にTBSエンタテインメント(現・TBSテレビ)に入社し、『クイズ☆タレント名鑑』などで注目を集めた演出家だ。近年はDMM TVの『大脱出』シリーズやPrime Videoの『KILLAH KUTS』、U-NEXTの『芸人キャノンボール2025』など、配信プラットフォームでも企画・演出を担ってきた。ドラマのエンディング曲のプロデュースも手がけており、活動の場は地上波にとどまらない。今回のゲームは、企画を届ける”出口”を広げてきた流れの延長にあると見てよいだろう。

座組にも特徴がある。開発元の表記は「THE FIRST ZOMBIE」製作委員会で、映画やアニメで一般的な複数社出資の方式を採る。構成企業は明らかにされていない。販売を担うPhoenixxは、ソニー・ミュージックのインディーレーベル「UNTIES」の責任者だった坂本和則氏が2019年に設立した会社で、日本と海外のクリエイターの作品を相互に届けることを掲げている。

映像・Web発クリエイターのゲーム参入が相次ぐ

映像やWebの作り手がゲームに踏み出す動きは今回に限らない。TBSテレビは2023年にゲームブランド「TBS GAMES」を立ち上げ、翌2024年には、人気番組をゲーム化した『アイ・アム・冒険少年 超・脱出島』を発売している。同じ週の9月15日には、Webメディア「オモコロ」のライターとして知られるダ・ヴィンチ・恐山氏が、ブラウザゲーム『利用危約』を無料公開している。海外では、人気YouTuberのDunkey氏が2022年にパブリッシャー「Bigmode」を設立し、第1弾の『Animal Well』は2024年5月に発売され、年間ベストの常連となる評価を得た。

こうして並べると、テレビ局が番組IPをゲーム化する流れと、作り手個人の名前や審美眼をブランドにする流れが併存していることが分かる。『THE FIRST ZOMBIE』は後者に近く、番組名ではなく「藤井健太郎プロデュース」を前面