2026年9月17日、「東京ゲームショウ2026」(TGS2026)が幕張メッセで開幕した。1996年の初開催から30周年を迎えた今回は初の5日間会期で、出展社数は過去最多の1,138社(国内540社、海外598社)。主催のCESAは会期中30万人の来場を見込む。

その初日午前に設けられた主催者講演のテーマが象徴的だった。「異業種からの挑戦~サンリオ、PARCO、東映が語るゲームパブリッシング事業の狙い」。キャラクター、商業施設、映画という、本来はゲーム会社ではない3社の担当者が同じ壇上に並んだ。3社はそろって会場にブースも構え、Sanrio Gamesと東映ゲームズは今回がTGS初出展となる。

3社3様の参入ロジック

同じ「異業種参入」でも、狙いは異なる。

サンリオは2026年4月に自社ブランド「Sanrio Games」を始動し、3年間で10本程度のリリースを計画する。第1弾は10月29日発売予定のNintendo Switch/Switch 2用『サンリオ パーティランド』だ。説明会では、他社ライセンスでは人気キャラクターに偏りがちなゲーム化を自社で主導し、400以上のキャラクターを世界に届けたいとの考えが示された。開発は外部に委ね、自社は企画・プロデュースを担う。

パルコは2023年にゲーム事業の専門チームを立ち上げ、2024年9月に「ゲーム事業開発部」として独立部署化。2025年8月にレーベル「PARCO GAMES」を設けた。対象は国内外のインディーゲームで、実店舗でのポップアップや館内広告など「場」を持つ強みを販促に生かす。今回はレーベル1周年として臨み、Steamでは4作品のバンドルセールを行うまでになった。

東映は2026年4月に「東映ゲームズ」を発足。『HINO』『KILLA』『DEBUG NEPHEMEE』の3作を、いずれも外部のクリエイターやスタジオと組んでSteam向けに手がける。映画やドラマで紡いできた「ものがたり」をゲームの形で届けると掲げる。

先行する集英社・東宝、海外ではAnnapurna

この流れには前例がある。集英社は2022年2月に子会社「集英社ゲームズ」を設立し、インディー開発者の支援を軸にパブリッシャーとしての地歩を固めてきた。東宝も2021年にレーベル「TOHO Games」を立ち上げ、『ゴジラ』を題材にしたスマートフォン向けタイトルで参入した。海外では映画会社アンナプルナ・ピクチャーズが2016年12月に部門「Annapurna Interactive」を設け、インディー作品の目利きとして地位を築いた。

共通するのは、IPや才能を発掘・編集するノウハウをゲームに転用する発想だ。開発スタジオを自前で抱えるより固定費を抑えやすいパブリッシングは、新規参入の入り口になりやすい。

問われるのは「継続」

背景には市場の拡大がある。日経ビジネスによると、ボストン・コンサルティング・グループは世界のゲーム市場が2025年の2630億ドルから2030年に3530億ドルへ拡大すると推計する。一方で新作は絶え間なく投入され、発売するだけでは埋もれる時代でもある。

継続性の難しさを示す例もある。Annapurna Interactiveでは2024年8月末、部門を独立させる交渉が行き詰まったことを受け、約25人のスタッフが一斉に退社したと報じられた。親会社との距離の取り方ひとつで、積み上げた体制が揺らぎうるということだ。

異業種パブリッシャーの価値は、ゲーム会社にはない販路や集客力、ファンとの接点をどこまで作品に還元できるかにかかる。30周年のTGSがこのテーマを初日に据えたのは、参入の段階を越え、実力が問われる局面に入った証だろう。本業の強みを「作品を届ける力」に変え、何年続けられるか。答えが出るのはこれからだ。