G・O・Pは2026年8月、PCオンラインFPS『Alliance of Valiant Arms(AVA)』のIPを用いた新作FPSプロジェクトの始動を発表した。2026年内のサービス開始を予定し、8月12日に正式タイトルとティザー映像を解禁する。掲げるのは「FPSの原体験への回帰」だ。だが、この旗印は同じ夏に復活したもう一つの伝説的タイトルと真正面からぶつかる。
日本のネットカフェを制した17年
『AVA』は韓国Redduckが開発し、日本では2008年12月1日に正式サービスを開始した。運営は当時のゲームオン。同社のオンラインゲーム運営事業を2022年に分社化したのが、現在のG・O・Pである。架空の欧州戦争を舞台に「ポイントマン」「ライフルマン」「スナイパー」の3兵種を使い分ける戦術性が支持を集め、G・O・Pによれば全盛期には毎日7万試合が発生し、累計280万人が参戦したという。
人気を支えたのはゲーム内容だけではない。全国のネットカフェを会場にしたオフラインイベントが継続的に開催され、当時の報道によれば2014年には年130回に達した。国内FPS競技シーンの人材供給源でもあった。
「重いFPS」だったIPが「軽さ」を売る
新作が掲げる3本柱は、AVAらしい競技性の継承、旧型PCでも動作するアクセシビリティ、そしてかつての戦友の再結集である。注目すべきは2点目だ。
『AVA』は韓国産オンラインFPSとしていち早くUnreal Engine 3を採用し、基本無料FPSとしては破格の高精細グラフィックスで名を上げた。当時は明確に「重い側」だったIPが、17年余を経て「軽さ」を看板に掲げる。ハード性能の向上が前提化した市場での逆張りであり、同時にブランドの一貫性をどう説明するかという課題も生む。拾おうとする帯域は、スマートフォン向けFPSとも競合する。
1カ月先行した『サドンアタック』
さらに難しいのは、この空白帯を狙う競合がすでに動いている点だ。ネクソンは2026年7月29日、『SUDDEN ATTACK ZERO POINT』のSteam早期アクセスを開始した。2005年の韓国産FPS『サドンアタック』のリマスターで、日本では2007年から2019年まで約12年サービスされた、やはりネットカフェ世代の代表格である。
シンプルな操作と爆破ルール、エイム勝負という訴求は、AVA新作の「硬派に競い合えるFPS本来の楽しさ」とほぼ重なる。狙う顧客は30〜40代の元プレイヤー層であり、両者は市場を広げるのではなく分け合う関係になる。しかもAVA側は1カ月出遅れ、タイトル名すら未公表だ。
加えて、両タイトルが共有する原風景そのものが縮んでいる。業界団体の日本複合カフェ協会に加盟する33法人の店舗数は、732店(2025年10月末時点)にとどまる。ネットカフェが新規プレイヤーの入口として機能した時代の再現は望めない。復活組が頼れるのは配信プラットフォームと、SNS上に残る同窓生ネットワークだけであり、集客コストは当時と根本的に異なる。
三重化とマネタイズが問われる
現行のPmang版『AVA』は稼働を続け、Steamでは別系統の『A.V.A Global』も配信中である。新作が加われば導線は三系統になり、既存プレイヤーの課金資産や戦績の扱いが焦点となるが、現時点で説明はない。
課金設計も難所だ。ガチャ形式のAVA-BOXと期間制銃器を軸に、性能差のある武器を売る当時のモデルは、スキンとバトルパスが標準の現在では通用しにくい。「原体験」のどこを再現し、どこを捨てるかの判断が、そのまま収益構造を決める。
親会社の韓国VALOFEは、継続困難なオンラインゲームの引き受けで規模を広げてきた企業だ。今回のIP新作は、延命請負からIP再生への転換を測る試金石でもある。真価が問われるのは、8月12日以降である。














