カプコンは7月23日、対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』などを対象とした「コミュニティ大会開催ガイドライン」を改定し、非公式大会の賞品として地域特産品を含む「換金・転売を目的としない物品」を認める方針を発表した。

これまで賞状やトロフィーが中心だった副賞の選択肢が広がり、地域色を生かした大会運営が可能となる。一方で、現金や金券など金銭的価値を持つ賞品は禁止のままであり、非営利コミュニティ大会という位置付けは維持される。

「プロ大会偏重」からコミュニティ重視へ

近年のeスポーツ市場では、競技シーンの持続可能性が重要なテーマとなっている。プロ大会や国際大会は競技人口の拡大や市場形成を牽引してきた一方で、各社は草の根コミュニティの活性化も競技文化を支える重要な要素と位置付けるようになった。そのため、ゲームメーカーが小規模大会を開催しやすい制度を整備する動きが国内外で広がっている。

実際、Riot Gamesはタクティカルシューター『VALORANT』などでコミュニティ大会向けガイドラインを継続的に整備し、小規模大会を公式ルールの範囲内で開催できる制度を運用している。任天堂も一定条件を満たす非営利大会について、コミュニティ大会向けガイドラインを公開している。いずれもIPを保護しながらファンコミュニティの活動を支援することを目的としており、ゲームメーカーの役割も「管理」から「環境整備」へ広がっている。

カプコンも2026年4月に「コミュニティ大会開催ガイドライン」を新設し、一定条件を満たす大会については、個別許諾なしで開催できる仕組みを導入した。今回の改定は、その制度をさらに実情に合わせて見直したものと位置付けてよいだろう。賞品の自由度を広げることで、地域コミュニティが独自性のある大会を企画しやすくなるのは間違いない。

地域資源を生かした大会づくり

今回の改定で注目されるのが、「地域特産品」が賞品の例として示された点だ。例えば、地元の銘菓や農産物、伝統工芸品などを副賞として設定できるようになれば、小規模大会でも地域ならではの特色を打ち出しやすくなる。自治体や商工会、観光団体との連携が進む可能性もあり、ゲーム大会を地域イベントへ組み込む新たな選択肢になることが期待される。

この方向性は、格闘ゲーム文化の歴史とも重なる。『ストリートファイター』シリーズはゲームセンターでの対戦会や店舗大会を通じて人気を拡大してきたタイトルであり、世界最大級の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series(EVO)」も草の根コミュニティから発展した経緯を持つ。今回の制度変更は、新たな文化を創出するというよりも、格闘ゲームが本来持っていた地域コミュニティの文化を制度面から後押しする取り組みと捉えることもできる。

「賞金」ではなく「体験価値」を高める発想

また、近年は自治体がゲームIPを地域振興へ活用する事例も増えている。カプコン自身も『ストリートファイター6』を活用した自治体との連携施策や地域イベントを展開しており、ゲームを地域の交流人口拡大や観光施策へ結び付ける取り組みを進めてきた。今回の制度改定は、そうした流れとも親和性が高い。

特に注目すべきなのは、地域特産品が賞品として認められたことで、小規模大会が現金ではなく、「地域ならではの価値」で特色を打ち出せるようになった点である。ゲーム大会が地域文化や観光資源と結び付くことで、参加者にとっては競技だけでなく、その土地ならではの体験を得る場にもなり得る。地域イベントとしての魅力を高める余地は、従来より広がったと言えるだろう。