アニメーション映画は、過去10年(コロナ禍を除く)で年間興行収入トップ10作品のうち約2割を占め、今年10億ドルを突破した最初の作品が『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』になるなど、ハリウッドを支える分野となっているが、いまだ作品や制作者への評価が追いついていないのが実情のようだ。米エンターテインメント業界誌バラエティー(Variety)が7月17日伝えた。

アニメーションスタジオ「ライカ」のトラヴィス・ナイトCEOは、2020年のアカデミー賞ノミネート時に、かねて尊敬していた脚本家から「私はそういうもの(アニメーション)は一切見ない。投票する作品は、子供たちに任せている」と言われ憤りを覚え、『子供向け映画』というのが業界や世間の暗黙の共通認識であり、それが声に出されたことに深く傷付いたと話す。

こうした見下した態度の一部は自分たちのせいでもあると話すのは、ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるピート・ドクター氏。「(ハリウッド業界の)アニメーション映画の90%は、面白おかしく、おどけたもので、まるでベビーシッター向けの作品のようなもの。われわれは(業界として)、もっとレベルアップできるはずだ」と語る。

アニメーション映画のアカデミー最優秀作品賞の受賞に必要なことについては、映画制作者たちの間でも意見が分かれ、アニメーション分野でアカデミー賞の投票権を持つメンバーを増やすことなどが挙がっている。一方、『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』などを手がけるイルミネーションのクリス・メレダンドリ創業者は、偏見があるという主張を否定。「歴史的に見ても、コメディ作品は苦戦を強いられてきた」とした上で「今ではアニメーション映画に込められた芸術性に対して、広く評価されるようになっている」との見方を示した。

(文:坂本 泉)