アカデミー賞受賞俳優であるケイト・ブランシェットは6月23日、欧州議会で、AIシステムによる自身の肖像の使用条件を設定する「ヒューマン・コンセント・レジストリ」を発表。スティーヴン・ソダーバーグ監督も同席した。欧州政策メディア「ユーラクティブ」などが伝えた。

この無料ツールを通じて、利用者は、AIシステムによる自身の氏名、肖像、声、その他の属性の使用について、許可、条件付きで許可、あるいは禁止を表明できる。将来的には、自身の創作物、キャラクター、ブランドの使用方法についても、利用者が意向を表明できるようになる予定だ。

ブランシェットは「AIの時代において、個人のアイデンティティは知的財産(IP)そのものであり、AIがその情報をどのように利用するか決定する権利を誰もが持つべきだ」と主張。この登録制度は現時点では任意であるものの、将来的には法的拘束力のある法律や規則を補完する「実務上のインフラの一部」となる可能性があると指摘した。

欧州連合(EU)のAI法では、AI企業に対し、創作物をAIの学習に使用しないよう求める個人の要請を尊重することを義務付けているが、技術的な仕組みの導入を巡る協議が難航している。

ブランシェットは5月、同ツールを提供する非営利団体RSLメディアを共同設立。トム・ハンクス、メリル・ストリープ、ジョージ・クルーニーといったハリウッドの重鎮たちから幅広い支持を得ている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「自分の顔や声を、AIに使わせていいかどうか――それを本人が登録して意思表示できる仕組みが登場した。アカデミー賞女優のケイト・ブランシェットが欧州議会で発表した「ヒューマン・コンセント・レジストリ」で、トム・ハンクスやメリル・ストリープ、ジョージ・クルーニーら大物俳優も賛同している。
使い方はシンプルで、自分の名前・顔・声などをAIに使ってよいか、条件付きで許すか、それとも禁止するかを、あらかじめ表明しておける無料ツールだ。
ブランシェットは「AIの時代には、一人ひとりのアイデンティティそのものが財産であり、それをどう使われるかを決める権利は誰にでもあるはずだ」と訴えた。
先に米国で進む「NO FAKES法」など、AIによる無断のなりすましから個人を守る動きは世界に広がりつつある。法律の整備を待つだけでなく、本人の意思を記録する実務的な土台を用意した点に、新しさがある。」