ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)が運営する動画ストリーミングサービス「HBO Max」は4月15日、ウォルト・ディズニーとインド複合企業リライアンス・インダストリーズの合弁会社が運営するインドのストリーミングサービス「JioHotstar」を通じて、同国でのサービスを開始すると発表した。

JioHotstar内にHBO Maxブランドのハブを開設。JioHotstarの加入者向けに月額49ルピー(約83円)〜の追加オプションとして提供され、月額10.99ドルかかる米国のHBO Maxの単独基本プランよりも大幅に安い。インドでHBO Maxの全コンテンツが一カ所で提供されるのは今回が初めて。JioHotstarは以前、複数年にわたるライセンス契約を通じてHBOのコンテンツを配信していた。

WBDはこれまで「規模、シェア、エンゲージメント、収益性の面で『最も困難な』」アジア市場だとして、インドのストリーミング市場への参入に消極的だった。しかし今回「インドは世界で最も活気あるストリーミング市場の一つ。JioHotstarとの独占提携によるサービス開始により、弊社コンテンツのリーチを拡大し、全国のファンとのより深いつながりを築くことが可能となる」との見方を示した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「月額49ルピー(約83円)——HBO Max(日本ではU-NEXTと協業)のインド版価格は、米国の16.99ドル(約2,600円)と比べて約31〜37分の1だ。この価格差は「同じコンテンツを世界中で同じ価格で売る」時代の終わりを示している。

NetflixがインドでRs.149(約250円)のモバイル限定プランを展開し、SpotifyがARPUより加入者数を優先してきた流れと同じ論理が、HBO Maxにも適用された。ディズニーとリライアンスが合併したJioCinemaとの独占提携は、現地最大のエンタメインフラに乗ることで参入コストを抑える設計だ。

「最も困難な市場」と言ってきたWBD(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)が方針を転換した背景には、パラマウントとの買収交渉で得た「グローバルな規模が必要だ」という認識がある。

HYBEのインドオーディション、リザーバー・メディアのMENA展開——エンタメ産業が「英語圏から非英語圏へ」と重心を移す流れの中で、WBDのインド参入は遅すぎたとも、タイミングが良いとも読める。閉鎖的とも言われてきたインドの14億人市場への扉がコンテンツ業界でも開きつつある」