TikTokは4月13日、親会社であるバイトダンス(北京字節跳動科技)の動画生成AIモデル「Dreamina Seedance 2.0」を、自社が展開するクリエイティブ制作支援の生成AIツールキット「TikTok Symphony」に組み込んだと発表した。「For Youページ(FYP)」で視聴者にリーチしたいブランドにとって、動画制作のプロセスが効率化されることになる。

テキスト・画像・参考クリップを入力すると「音声と映像が完璧に同期した洗練された動画」を出力。同モデルは「責任あるAI原則」に基づき、実在の人物の顔を含む素材からの動画生成の禁止や、知的財産(IP)の無断生成の禁止、生成されたコンテンツへの目に見えない透かしマークの表示などの対策を講じている。

バイトダンスは2月、動画生成AIモデル「Seedance 2.0」を発表。グーグルの動画生成ツール「Veo」を上回る性能との評価もあったが、著作権問題で物議を醸し、世界展開が一時停止される事態に発展した。バイトダンスは3月、自社の動画編集アプリ「CapCut」上で、日本を含む一部市場を対象に「Dreamina Seedance 2.0」の提供を段階的に開始していた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「著作権問題で世界展開が一時停止したSeedance 2.0が、透かし・IP保護・実在人物の顔からの生成禁止という「責任あるAI原則」を携えてTikTokに統合された。

この経緯は、AI動画生成が「技術の完成」より「権利処理の完成」で市場に出られるかどうかが決まることを物語っている。YouTubeがAIアバター機能にAI生成の透かしを義務付け、TikTokのDerivative Worksが改変楽曲を検知し、Seedance 2.0が透かしを実装する——プラットフォームが「AIコンテンツの可視化」を標準化する流れが加速している。

ブランドにとってAI動画生成の絶対条件は「速い、安い、訴訟リスクがゼロ」だ。グーグルのVeoやOpenAIのSoraとの性能競争より、この三条件の充足が広告利用の実質的なハードルになっている。

「生成→編集→配信」のすべてが同一の権利保護環境内で完結するTikTokのエコシステムは、外部ツールに対するバイトダンスの強力な武器だ。AI動画の「使える時代」が、静かに始まっている。」