主流文化は依然として健在で、その流れはYouTubeの中に息づいているーー。多くの評論家が「主流」という概念がもはや過去のものだと主張する中、YouTubeが公表した最新の「カルチャー&トレンドレポート」から、こうした実態が明らかとなった。
YouTubeは今回、調査会社NRGと共同で、米国の14〜44歳(約500〜1,000人)を対象に調査を実施した。
同報告書は、文化がかつてないほど分断されているという事実を否定していない。回答者の67%は、5年前と比べて「個人的な知り合いの誰も見ていない」チャンネルをより多く視聴。主要な劇場公開作品の一般的な認知度は、2017年比で10%近く低下している。
一方で、この認知度の低下は、新たな主流を形成する要因をさらに強めている。これらの劇場公開作品の「熱狂的なファン」の割合は2017年から約4%伸びており、文化的な議論は「スーパーファン」の領域に踏み込みつつある。
同報告書では、Robloxやアニメといった定番の文化が、ニッチなファンの情熱を原動力として主流の現象へ発展した事例が挙がり、YouTube発『バックルームズ』の劇場大ヒットにも言及。「デジタル文化は本質的に参加型であり、こうしたダイナミクスを積極的に取り入れたコンテンツは、思いがけない場所から一気に主流へと躍り出る可能性がある」と分析している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「レポートが挙げた実例に、時代の変化が凝縮されている。『バックルームズ』。もとは匿名掲示板発の画像とネット怪談で、それをYouTubeの短編映像シリーズに育てたのは、撮影当時16歳の若者だった。その世界観が今年、劇場映画として大ヒットに至った。掲示板→YouTube→ハリウッドという経路は、かつての「原作小説→映画化」の現代版である。この道筋の要点は、企画の検証が済んでいることだ。映画化の前に、何億回という再生とファンの考察文化が、この世界観の吸引力を証明していた。スタジオは博打ではなく、実証済みの熱に投資した格好である。日本にも馴染み深い構図だろう。ボカロ曲や、なろう系小説、TikTok発のヒット曲と、ネットの参加型文化から主流へ駆け上がる階段は、こちらでは既に太い。報告書の言う「デジタル文化は本質的に参加型」という分析は、日本のコンテンツ産業が先に体得してきた法則でもある。次の大作の種は、今日もどこかの投稿にある。」














