Spotifyは6月18日、5月に発表した新機能「Reserved」の運用を米国で開始した。プレミアム会員のうち当該アーティストのスーパーファンに対し、一般販売に先駆けてツアーチケットを2枚確保するものだ。

第一弾アーティストは、インディー・ポップ・アーティストのロール・モデル(本名:タッカー・ピルズベリー)。対象となるプレミアム会員には、同日よりチケットが確保された旨の通知が届き始め、購入期間は6月23日からとなる。

ローンチパートナーは、Ticketmasterの親会社であるライブネーション・エンターテインメントで、提携企業は順次拡大予定。ブルームバーグは先に、情報筋の話として、Spotifyが先行チケット販売権に対して「数千万ドル」を支払っていると報じた。

Spotifyは、再生回数やシェア・保存数、その他のリスニング活動状況などを基に、ボットではなく、本物のスーパーファンであることを特定。転売業者でなく、真のファンにチケットを届けることを目的としている。引き換えられなかったチケットは他の対象リスナーに割り当てられ、在庫がなくなり次第終了となる。

Spotifyは2022年にコンサートチケットを直接販売する試験運用を行っていたが、その後パートナーシップモデルに移行。「Reserved」は、同プラットフォームのデータをサードパーティのインフラに活用するアプローチとなる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「当初の構想からの方針転換が興味深い。先行チケット権は、Spotifyが投入を予定する高価格プラン「Music Pro」(月額約6ドル=約950円の追加)の目玉になると見られていた。それが今回、追加料金なしの通常プレミアムに組み込まれる形で始動した。
同社は「すべての音楽ファンが価値を感じる中核機能だ」として、あえて有料の囲い込みにしなかったという。背景には、世界最大の音楽コンサート会社ライブ・ネーションとの交渉を、AppleやAmazonを抑えて成立させた経緯がある。ブルームバーグによれば、Spotifyは先行販売権に数千万ドル(数十億円規模)を投じたとされる。
再生やシェアの履歴から「本物のスーパーファン」を見極め、ボットや転売業者を排除する仕組みも整えた。熱心に聴き続けたファンを優遇するこの設計が、ストリーミングとライブをつなぐ新しい形になっていきそうだ。」