米上院司法委員会は6月18日、超党派議員が提出した「NO FAKES(Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe)」法案を満場一致で可決した。全米レコード協会(RIAA)は同日、同法案への支持を再表明した。

同法案は、全米国民に対し、自身の声や肖像をAIが生成した複製物について、使用を許可または阻止する連邦法上の権利を付与するもの。ニュース報道やパロディなど合衆国憲法修正第1条で保障される利用を例外として扱い、全国統一の基準、オンラインサービス向けの「通知・削除」制度、および誤って削除されたコンテンツに対する「異議申立」手続きを確立する。

罰則は段階的に設定され、複製物を制作または配布した個人には作品1点当たり5,000ドル、企業には同2万5,000ドル、規定を順守しなかったオンラインサービスには同最大75万ドルの罰金が科される。

同法案は今後、上院本会議での採決へと進むことになり、成立には下院での可決と大統領の署名も必要となる。この法案は2024年7月に初めて提出されたが審議が難航し、今年5月に最新版の法案が再提出された。

RIAAのほか、世界三大メジャーレコード会社を含む音楽業界や、ウォルト・ディズニー・カンパニー、米映画業界団体のモーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)に加え、YouTube、OpenAI、IBMなど、多くの大手テック企業も支持を表明している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「注目すべきは、規制される側であるはずのテック大手が、こぞって賛成に回った点だ。「NO FAKES法案」は、自分の声や姿をAIが無断で複製することを拒否できる連邦法上の権利を全国民に与えるもので、6月18日に上院司法委員会を全会一致で可決。世界のエンタメ産業にも影響してくる内容だ。
RIAA(米レコ協)やメジャー3社、ディズニーに加え、YouTube、OpenAI、IBMといったAI開発の当事者までが支持を表明している。かつて2024年の草案には映画スタジオが「表現の自由を侵す」と警戒し、審議は難航した。それが今や、明確なルールを設けることが業界全体の利益になるという認識へと変わってきた。
先に成立した州法ELVIS法(テネシー州)の流れも後押ししている。ELVIS法はNO FAKES法案に先立ち、AIの声まね・なりすましへの対策が、対立ではなく合意の上で進み始めた転換点と読み取れる。」