SAG-AFTRA(全米映画俳優・テレビ・ラジオ芸術家組合)は6月4日、映画スタジオやストリーミングサービスを代表する全米映画テレビ制作者協会(AMPTP)との4年間の労働協約について、組合員が承認したと発表した。協約には、バーチャル俳優に関する新たな条項や、組合の2つの年金基金の統合などが盛り込まれている。

投票した組合員のうち、91.4%が賛成、8.6%が反対だった。投票率は19.3%。

この協約では、プロデューサーがAIパフォーマーを使用できるのは、実在の俳優やその俳優のデジタルアバターと比較して「著しい付加価値」をもたらす場合に限られる。SAG-AFTRAは、この文言が仲裁条項と相まって、AIレプリカの使用をごく一部の例外的なケースに限定することになると主張している。

同労組は、今回の合意は2023年のストライキで勝ち取った成果を基盤としていると強調。一方、組合内の一部からは、スタジオがAI俳優を使用する際にほとんど制約を受けないことへの懸念が示され、より厳しい規制を求める声が上がっている。この問題を理由にストを呼びかけることができるようになるのは2030年以降。AIの急速な変化を踏まえ、従来の3年ではなく4年の契約期間に合意することは誤りだと主張する声もある。

AMPTPは、6月30日に契約満了を迎える全米監督協会(DGA)との交渉を継続中で、主な争点は、雇用、AI、医療保険となっている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「2023年の俳優ストから2年、その「成果」を実装した4年契約が、いよいよ動き出す。SAG-AFTRA(全米映画俳優・テレビ・ラジオ芸術家組合)が6月4日、AMPTP(全米映画テレビ制作者協会)との4年労働協約を組合員が91.4%の賛成で批准したと発表した。プロデューサーがAIパフォーマーを使用できるのは「実在の俳優やそのデジタルアバターと比較して、著しい付加価値をもたらす場合」に限定。年金基金の統合や仲裁条項も盛り込まれた。ただし懸念も──AIの急速な進化を考えると、4年間(2030年まで)AIを理由にストを呼びかけられないことが「規制の固定化」につながる可能性も指摘される。労使協定がAIの進化速度に追いつくのか、業界共通の問いだ。」