ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)は10月22日、メジャー音楽会社として初めて、米ゲーマー向け音楽サービス「TYGER」とライセンス契約を締結したと発表した。UMGの原盤・出版カタログの一部が、TYGERの有料・無料プランで提供されることになる。
TYGERはAIを活用した特許技術により、ライセンス取得済みの楽曲をリアルタイムのゲームプレイに合わせて取り込めるサービス。ゲームスタジオによる統合を必要とせず、パソコン、コンソール、モバイルの全てで動作するように設計されている。プレイヤーがプレイ中に聴く音楽を自ら選択できる仕組みをもたらす一方で、アーティスト、作詞家、権利者がゲームユーザーにリーチするための「直接的なルート」を提供する。
TYGERは現在、主にインディーズアーティストによる40万曲以上の楽曲を収録。UMGの楽曲を追加して、今年後半にプランを刷新してサービスを再リリースする予定だ。同サービスは『フォートナイト』を含む20本以上のゲームでベータ版として提供されており、これらのゲームの月間利用者数は合計で5億4,000万人を超える。
UMGのルシアン・グレンジ会長兼CEOは3月、「ハイパーパーソナライゼーションは驚異的な機会となるだろう」と述べ、例としてゲーム業界を挙げていた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽業界のAIを巡る話題は訴訟が目立つが、この契約は対照的な使い方を示している。TYGERのAIは楽曲を生成するのではなく、ライセンス取得済みの楽曲をゲームプレイの展開に合わせてリアルタイムに編集・適応させる。つまり権利者に無断で学習するAIではなく、正規の許諾を前提に既存楽曲の価値を広げるAIだ。訴訟で生成AI企業と争うUMGが、メジャー初としてここに乗った意味は大きい。「AIは敵」ではなく「許諾の枠内のAIは新市場」という線引きを、行動で示した形になる。プレイヤーにとっては、好きなアーティストの曲が自分のプレイに反応して変化する、ゲーム音楽と商業音楽のいいとこ取りの体験になる。インタラクティブ音楽は欧州のReactional Musicなども手がける成長領域で、楽曲を「聴く」から「体験に組み込む」への拡張が、カタログの新しい稼ぎ方として立ち上がりつつある。」














