Take-Two Interactiveが、開発中の『グランド・セフト・オートVI(GTA6)』の映像流出をめぐり、米マイクロソフトとディスコードに対する情報開示の召喚状発付を裁判所に申し立てた。

GTA6の発売は2026年11月19日。残り3カ月を切った時点でのこの動きは、単なる著作権保護ではなく、発売直前のマーケティング統制を守るための防衛戦と見るべきだろう。

公式映像の直前を突かれた

映像の流出が始まったのは8月18日。「CyberLeek」を名乗る主体が、旧ビルドとみられるゲームプレイ映像を連日公開した。Take-Twoは即座に削除要請を出したが、投稿先を変えながら拡散は続いた。

問題はその時期である。ロックスター・ゲームスは8月27日(日本時間28日未明)、米ネットフリックスで新映像「An Extended Look」を先行配信すると公表していた。2025年5月のトレーラー第2弾以来、約1年3カ月ぶりの本格的な情報開示であり、発売前商戦の起点となるはずだった。その山場の直前に、劣化した非公式映像が世界中のタイムラインを占拠した。

前作『GTA5』は累計2億本超を出荷し、10年以上にわたり収益を生み続けた。その後継作の販促計画は、初出映像の鮮度と話題の集中を前提に設計されている。それゆえに、公式が用意した器の外で情報が先に流れれば、投下済みの宣伝費の効率はその分だけ落ちる。

訴訟を待たない「速い手続き」

Take-Twoは8月20日、ニューヨーク南部地区連邦地裁にDMCA(デジタルミレニアム著作権法)512条に基づく召喚状を2件申し立てた。代理人は大手法律事務所カークランド・アンド・エリス。提出期限は9月4日と、発売から逆算した日程で設定されている。

この手続きは訴状の提出を要さず、裁判所書記官が発付する。通常の匿名被告訴訟より格段に速い。2022年に同作の開発中映像90本超が流出した際は、犯人の摘発は英米当局の刑事捜査に依存し、収束までに時間を要した。ロックスターは当時、復旧に多額の費用と膨大な工数を要したと法廷で説明している。今回は刑事手続を待たず民事の情報開示を先行させており、初動の設計思想が変わっている。

要求範囲は個人からサーバー全体へ

注目すべきは対象の広さだ。マイクロソフトにはGitHubの提供者として内部調査記録を求める一方、指定したディスコードのサーバーで6月1日以降に発言した全アカウントについて、登録IPアドレスや電話番号、端末識別子までを要求している。

任天堂が過去に行った同種の申し立ては、いずれも特定ユーザー1~2名に限定されていた。同じ条文の運用が、個人の特定からコミュニティ単位の名寄せへと拡大した形だ。

両社が9月4日までにどこまで応じるかは、プラットフォーム事業者が自社のプライバシー方針と権利者要請のどちらを優先するかを測る試金石となる。そしてここでの前例は、他社の同種案件にそのまま流用されるだろう。

GTA6は当初2025年内の発売を予定し、2026年5月、同年11月と2度延期された。開発費が膨張し延期が常態化する大型タイトルほど、完成間近の素材が社内外の多数の目に触れる期間は長くなる。マーケティング効果を最大化させるためにも、発売前の情報統制(とそこにかかる固定費)は重要視されるべきではないだろうか。