一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が発表した2025年のモバイルコンテンツ関連市場調査によると、モバイルコンテンツ市場とモバイルコマース市場を合わせた市場全体は前年比11%増の11兆6217億円となり、過去最高を更新した。

なかでも「ゲーム・ソーシャルゲーム等」市場は前年比8%増の1兆7601億円に達し、モバイルコンテンツ市場全体の約半分を占める最大カテゴリーであり続けている。注目すべきは、MCFが今回の調査で初めて、外部課金(Apple・Google以外の決済手段)の拡大をゲーム市場の明確な成長要因として名指しした点だ。

外部課金拡大が生んだ8%成長

ゲーム市場の成長率8%は、2024年の1兆6296億円から1305億円の増加に相当する。MCFはこの成長要因として、割安なアイテム販売や多様な決済手段を提供する外部課金の売上比率拡大を挙げ、スマートフォンゲーム各社が公式Webストアなどアプリ外課金の導入を進めたことが市場規模を押し上げたとの見方を示した。

モバイルコンテンツ関連市場全体は2020年の7兆1158億円から毎年拡大を続けてきたが、成長の中身が「プラットフォーム経由の課金」から「事業者独自の決済チャネル」へとシフトし始めた点で、今回の調査は質的な転換点を示している。

スマホ新法の全面施行とタイミングが一致

この転換の背景にあるのが、2025年12月18日に全面施行された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(通称:スマホ新法)だ。

同法はAppleやGoogleといった指定事業者に対し、アプリ内決済手段の自社限定を禁止し、外部サイトへの誘導や第三者決済の利用を可能にした。

実際、人気タイトル『Pokémon Trading Card Game Pocket』が2026年入り後に公式Webストアを開設するなど、大型タイトルでの導入が相次いでいる。ただし2025年通年の調査には全面施行後わずか2週間程度の影響しか反映されておらず、次回調査でより大きな伸びが観測される可能性がある。

韓国の先例が示す収益構造の分岐点

決済手段の指定を法律で禁じる規制は、2021年に世界に先駆けて成立した韓国の電気通信事業法改正が起点であり、米国のApple対Epic Games訴訟やEUのデジタル市場法(DMA)と続く国際的な潮流の延長線上に日本のスマホ新法も位置づけられる。

もっとも韓国では、外部決済の解禁後にGoogleがアプリストア利用名目で新たな手数料を課した結果、事業者の負担は実質的に軽減されなかったとの指摘がある。日本でも外部課金の利用拡大がそのまま事業者の収益改善に直結するとは限らず、今後の手数料体系の設計が焦点になるだろう。

非ゲーム領域でも進む多様化

ゲーム以外では、動画・エンタテインメント市場が前年比14%増の6365億円と高い伸びを示したほか、生成AIの活用拡大を背景に「その他」カテゴリーが前年比43%増の4422億円と急伸した。

ゲーム市場の存在感が一段と高まる一方、モバイルコンテンツ市場全体としては非ゲーム領域への裾野の広がりも同時に進行している。 外部課金拡大という成長要因の明記は、日本のスマホゲーム市場がプラットフォーム手数料への依存から複線的な収益モデルへ移行し始めた兆候として読み取れる。

今後は法制度の定着とともに、決済手数料の再設計や事業者間の競争構造がどう変化するかが、次の焦点となりそうだ。