ONE OK ROCKのベーシスト・Ryota氏が手がけるゲームプロジェクト「Melty Island」が、7月23日より『Fortnite』で公開される。

「Melty Island」は99人参加型のバトルロイヤルゲームをベースに、Ryota氏によるオリジナル楽曲やアート作品、探索要素を組み合わせた体験型コンテンツ。当初は自身が練習できるバトルロイヤルマップを制作したいという発想から始まったが、開発を進める中で音楽やアートを融合した独自のゲーム空間へと発展したという。

注目すべきは、本プロジェクトが「アーティストがゲームに楽曲を提供する」という従来型のタイアップとは異なる点にある。Ryota氏はゲーム内イベントへ出演するのでも、BGMを提供するのでもない。ゲーム空間全体の企画・プロデュースに携わり、自身の世界観をプレイヤーへ体験として届けようとしているのである。

『Fortnite』はどのように「文化のプラットフォーム」になったのか

もっとも、この動きは突然生まれたものではない。Epic Gamesは2019年頃から、『Fortnite』を単なるバトルロイヤルゲームではなく、多様なエンターテインメントが集積するプラットフォームへ転換する戦略を進めてきた。

その転機となったのが、2019年に開催されたDJ・Marshmelloによるゲーム内ライブである。1000万人を超える同時参加を記録したこのイベントは、「ゲームがライブ会場になり得る」ことを世界へ示した象徴的な出来事となった。

こうした流れを決定づけたのが、2020年のTravis Scottによる「Astronomical」だ。約1230万人が同時参加したこのイベントは、ゲーム内で新曲を発表するとともに、現実では実現できない演出を展開し、「ゲームは音楽を体験するメディアになり得る」という認識を業界へ浸透させた。その後もAriana Grandeによる「Rift Tour」やKid Cudiのプロジェクトなど、音楽とゲームを融合した大型企画が相次いでいる。

UEFNが変えたゲーム制作の裾野

さらに潮流を後押ししたのが、2023年に公開された「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」である。従来のクリエイティブモードと比べて自由度の高いゲーム制作が可能になり、企業や個人クリエイターでも本格的なコンテンツを制作・公開しやすくなった。これにより、『Fortnite』はゲーム開発会社だけの舞台ではなく、アーティストやブランド、自治体など多様なプレイヤーが参加できる創作プラットフォームとしての性格を一段と強めている。

実際、現在の『Fortnite』は累計プレイヤー数が数億人規模に達する巨大なデジタルプラットフォームへと成長している。NikeやLEGO、Balenciaga、Disneyなどのグローバル企業も、ゲーム内で独自コンテンツや体験型プロジェクトを展開・構想しており、ブランドの世界観をユーザーへ届ける場として活用を進めている。『Roblox』でも同様の動きが広がっており、ゲームは商品を宣伝する広告媒体ではなく、IPそのものを育てるメディアとして存在感を高めつつある。

日本でも「ゲームを持つアーティスト」は増えるのか

Ryota氏の挑戦は、一見すると著名アーティストによるゲーム制作という話題性の高いニュースである。しかし、その本質はゲーム業界だけの話ではない。なぜなら、ゲームが音楽やアート、ブランド、コミュニティを包括する新たな文化基盤となりつつあることを示す事例だからだ。

今後はアーティストがゲーム会社とコラボレーションするだけでなく、自ら企画・プロデュースするゲーム空間を起点にIPを展開する動きが広がる可能性もある。「Melty Island」は、その変化を象徴する日本発の挑戦として注目すべきプロジェクトと言えるだろう。